眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

仄暗(ほのぐら)き夕暮れに

小説/詩

日暮れは、ひんやりと僕の肩を包む
街の暑さは、もう遠い記憶の底なのに
この高原の静けさが、かへつて僕を責めるのだ
僕はひとり、深い青に染まる林のなかにゐる
風は冷たく、白樺の梢を鳴らして過ぎゆく
おまへがここにゐないといふ、ただそれだけのことが
これほどまでに僕の胸を締めつけるとは
――あふれる切なさに、僕は立ち尽くしてゐる
むらさきの闇が、山の端(はし)から降りてきて
遠い都会(まち)の、ともしびを想ふ
僕は誰にも届かない、小さな歌をうたはう
この孤独な夕暮れの、冷たい空気のなかで
閉ざされた窓のなかで
手紙を書き終へても、もう届く宛て(あて)はない
僕はただ、ひんやりとした夜気(やき)のなかで
小さなランプの、ふるへる火影(ほかげ)を見つめてゐる
窓の向かうには、もう真っ暗な高原の森
おまへはもう、僕の呼ぶ声にも答へてくれない
都会(まち)の暑さから逃れて、ここに辿り着いたのに
この深い静寂(しじま)は、僕の哀しみを映す鏡のやうだ
あふれる涙が、インクの文字を滲ませてゆく
硝子(ガラス)の向かうで、夜の風がそつと囁くけれど
僕はもう、窓を開けることもしないだらう
――ランプを消せば、すべては闇に還るのだ


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