眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

独白:熱帯夜

小説/詩






「……ふう。 氷なんて、最初から頼まなきゃよかったな。
グラスの中で一瞬で溶けて、ただの水になっちまった。
この街の約束と同じさ。形があるのは、最初の数秒だけ。
誰もあてにするな。
耳にタコができるほど、自分に言い聞かせてきたはずだろ。
なのに、どうしてまだ、ノックの音を待つような耳をしている?
誰かがドアを叩くはずがない。
叩いたとしても、そいつは俺の財布か、あるいは命を狙いに来た奴だ。
一番の裏切り者は、他人じゃない。
今、こうして喋っている俺自身さ。
『明日はまともに行きよう』とか、『あの約束だけは守ろう』とか。
ぬるい炭酸水を飲みながら、そんな甘い嘘を自分に吹き込んでいる。
自分の言葉さえ、この暑さでドロドロに溶けて、信用できたもんじゃない。
(煙草に火をつけ、短く煙を吐き出す)
胸のポケットで、ブリキの時計がチクタクと急かしてやがる。
時間が進めば、何かが変わるとでも思っているのか。
進んでいるのは俺の足じゃない。ただ、世界が俺を置き去りにして回っているだけだ。
すべてを捨てちまえば、楽になれる。
期待しなければ、裏切られても、笑って流せる。
そうやって、心に何重もの鍵をかけてきた。
なのに、どうしてこんなに喉が渇く?
この渇きは、空気のせいじゃない。
自分さえも信じられない、この胸の空白のせいだ。
……さあ、夜が深くなる。
そろそろ、このぬるい部屋を出る時間だ。
どこへ行くかって?
そんなもの、俺の足に聞いてくれ。
俺の頭じゃ、もう自分の行く先さえ、あてにしちゃいないからな」_


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