独白:熱帯夜
「……ふう。 氷なんて、最初から頼まなきゃよかったな。
グラスの中で一瞬で溶けて、ただの水になっちまった。
この街の約束と同じさ。形があるのは、最初の数秒だけ。
グラスの中で一瞬で溶けて、ただの水になっちまった。
この街の約束と同じさ。形があるのは、最初の数秒だけ。
誰もあてにするな。
耳にタコができるほど、自分に言い聞かせてきたはずだろ。
なのに、どうしてまだ、ノックの音を待つような耳をしている?
誰かがドアを叩くはずがない。
叩いたとしても、そいつは俺の財布か、あるいは命を狙いに来た奴だ。
耳にタコができるほど、自分に言い聞かせてきたはずだろ。
なのに、どうしてまだ、ノックの音を待つような耳をしている?
誰かがドアを叩くはずがない。
叩いたとしても、そいつは俺の財布か、あるいは命を狙いに来た奴だ。
一番の裏切り者は、他人じゃない。
今、こうして喋っている俺自身さ。
『明日はまともに行きよう』とか、『あの約束だけは守ろう』とか。
ぬるい炭酸水を飲みながら、そんな甘い嘘を自分に吹き込んでいる。
自分の言葉さえ、この暑さでドロドロに溶けて、信用できたもんじゃない。
今、こうして喋っている俺自身さ。
『明日はまともに行きよう』とか、『あの約束だけは守ろう』とか。
ぬるい炭酸水を飲みながら、そんな甘い嘘を自分に吹き込んでいる。
自分の言葉さえ、この暑さでドロドロに溶けて、信用できたもんじゃない。
(煙草に火をつけ、短く煙を吐き出す)
胸のポケットで、ブリキの時計がチクタクと急かしてやがる。
時間が進めば、何かが変わるとでも思っているのか。
進んでいるのは俺の足じゃない。ただ、世界が俺を置き去りにして回っているだけだ。
時間が進めば、何かが変わるとでも思っているのか。
進んでいるのは俺の足じゃない。ただ、世界が俺を置き去りにして回っているだけだ。
すべてを捨てちまえば、楽になれる。
期待しなければ、裏切られても、笑って流せる。
そうやって、心に何重もの鍵をかけてきた。
期待しなければ、裏切られても、笑って流せる。
そうやって、心に何重もの鍵をかけてきた。
なのに、どうしてこんなに喉が渇く?
この渇きは、空気のせいじゃない。
自分さえも信じられない、この胸の空白のせいだ。
この渇きは、空気のせいじゃない。
自分さえも信じられない、この胸の空白のせいだ。
……さあ、夜が深くなる。
そろそろ、このぬるい部屋を出る時間だ。
どこへ行くかって?
そんなもの、俺の足に聞いてくれ。
俺の頭じゃ、もう自分の行く先さえ、あてにしちゃいないからな」_
そろそろ、このぬるい部屋を出る時間だ。
どこへ行くかって?
そんなもの、俺の足に聞いてくれ。
俺の頭じゃ、もう自分の行く先さえ、あてにしちゃいないからな」_