眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

遠い昔 処暑に寄せて

小説/詩

ひぐらしの声が 夕闇の底へ沈み
あれほど熾(さか)んだった熱い陽ざしは
いつのまにか 木漏れ日のやはらかさになって
ぼくたちの足もとを そっと濡らす
風はもう 遠い海の話をしない
どこか見知らぬ尾根を越えてきたやうに
冷ややかな手ざわりで きみの髪を撫で
過ぎ去った季節の宛名を さがしてゐる
まだ夏の名残をのこす ひるさがりの
ちひさな窓辺に ぼくたちは腰かけて
かすかに動くカーテンのゆくへを 見てゐる
もうすぐ すべての光が透きとおり
告げられなかった言葉だけが
記憶のなかに 静かに遺されるだらう


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