眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

黒い波濤と、揺れる月光

小説/詩

真夏の月は、巨大な幻灯機となって
底の割れた夜の海を、鈍く、深く照らしつけている。
寄せては返す、重たい波の音が
俺のなかの、歪んだ思考をひとつずつ削り取っていく。
生ぬるい潮風が、シャツの襟を乱暴に揺らした。
ここまで歩いてきた理由など、
波打ち際に書いた文字のように、一瞬で消えていく。
「ここが世界の果てだ」
そんな大層な感傷に浸るつもりはない。
ただ、歩みを止めるのが面倒だった、それだけだ。
引き返すことさえ、今の俺には
ひどく労力の要る、他人の仕事のように思える。
他人の行く末を案じる余裕などない。
ましてや、自分自身の明日の行方なんて、
この寄せる波の、次の形を予測するより当てにならない。
どこまでも行き当たりばったりで、
自分さえ裏切っていく、この決定的な適当さ。
だが、この黒い水の広がりの前では、
その軽薄さだけが、妙に心地よかった。
靴のなかに、容赦なく冷たい砂が入り込んでくる。
見上げる空、月はすべてを知りながら黙っている。
このまま波に足元をさらわれるか、
それとも、またぬるい街へと引き返すのか。
まあ、どちらでもいい。
俺は濡れた砂に深く足跡を残し、
寄せては返す闇の境界線へと、もう一歩だけ近づいた。_


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