眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

サファイアの夜明け、シーツを脱ぐ街

小説/詩

真夏の月が、静かにその輪郭を溶かしていく。
群青から淡いサファイアへと変わる空の境界線で、
夜の終わりが、ゆっくりと、しかし確実に告げられていた。
波の音は、いつの間にか穏やかなジャズのベースラインに変わり、
ぬるかった潮風は、目覚めたばかりの凛とした冷たさを帯びる。
「美しいな」
そんな気の利いたセリフは、俺の役目じゃない。
ただ、夜の闇に紛れ込ませていた俺の嘘や、いい加減さが、
白日のもとに晒されていくのを見届けるだけだ。
ポケットのなかで、
昨日までの言い訳が、乾いた砂の粒になってこぼれ落ちる。
他人の目を気にして生きるほど、俺はマメじゃない。
かと言って、自分を律して生きるほど、ストイックでもない。
自分さえ当てにならない適当さを、
この新しい光は、ただ静かに、肯定も否定もせず照らしだす。
完璧な人生なんて、仕立ての良すぎるスーツと同じだ。
少し肩の力が抜けているくらいが、
この気だるい朝には、ちょうどいい。
波打ち際、俺の影が砂の上に細長く伸びていく。
東の空から、オレンジ色の鋭い光が差し込んできた。
新しい一日が、また俺を追いかけ始める。
昨日を悔やむか、今日を愛せるか。
まあ、どちらでもいい。
俺は濡れたブーツのまま、朝の光に背を向け、
まだ眠りの中にいる街へと、静かに歩き出した。


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