眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

真夏の陽炎

小説/詩

草のうえには あかるい真昼のしづけさが満ち
だれもゐない径(みち)を 光だけが歩いてゐる
風はどこかで 微睡(まどろ)む梢にわすれられ
青い空のすそを ひそかに揺らしてゐるのだった
あすこに見えるのは 揺らめく水のまぼろし
ゆきすぎる季節の うすいリボンのやうに
ひとつの名前が 白く燃えつきては
かすかな記憶の底へ ほどけて消える
あなたはそこに たたずんでゐるのだらうか
もう届かない はるかな九月の窓から
僕をみつめて 優しくほほゑむだらうか
陽炎はただ あをじろい夢のやうに立ちのぼり
追ひかける僕の指先を すりぬけてゆく
すべては真夏の ひかりのなかの出来事だった


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