眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

雨の降る遠い町で――虚蝉に

小説/詩

はるかな町に 雨がしづかに降つてゐる
瓦のやうに灰色の 見知らぬ屋根たちの下
僕はひとりで 古い窓から外を眺め
おまへののこした うすい殻を手のひらに載せてゐる
あの夏の日 光のなかで啼きしきつたおまへの
小さなうたは いまはどこへ行つてしまつたか
この濡れた舗石(しきいし)のうえを 流れる水のやうに
すべては遠くの川へ 消え去つてしまつたのか
窓硝子(まどガラス)には 冷たい滴がいくつも走り
おまへの羽のやうに かすかに光を反射(かへ)してゐる
そのすきとほる背中には もう宿るいのちもないのに
雨よ 哀歌(エレジイ)のやうに この町を濡らせ
僕は静かな夢のなかで あの遠い夏をふりかへる
おまへの脱ぎすてた さびしい銀のともしびのなかで


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