眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

日見峠の霧

小説/詩

優しくひとつの朝がひらかれるとき
僕は見失う、僕の歩むべき細い道を。
日見峠の古い坂に立ちこめる霧は、
まるで誰かのささやきのように淡く、白い。
消え去った旅人たちの足跡を隠し、
みどりの木の葉を濡らす、しめやかな涙。
追憶のなかでだけ鳴りひびく馬鈴の音が、
このぼんやりとした景色のどこかに、眠っている。
あねもねの風が僕の頬をかすめ、
失われた季節のうたを、低く歌う。
すべては淡い記憶の底へ沈んでゆくのだろうか。
霧の向こうに、まだ見ぬ海があるとしても、
僕はただ、この一瞬のなつかしい孤独のなかに、
そっと眼を閉じて、佇んでいたい。


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