眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

のちの想ひに

自作小説

あんなに雪が降つてゐた 北へ向かう夜に
私はただ ひとつの失つた名前をよんでゐた
狭い二段寝台の あかりを消した暗闇で
切なさは すきま風のやうに胸をぬけてゆく
いまはもう消えてしまつた あの汽車の青いカーテン
誰もいない通路の かすかな白熱灯のひかり
すべては昭和の 遠い幻だつたのだらうか
私の涙のやうに 窓の雪は溶けて流れてゐた
明日の朝のひかりが 灰色の空をひらくとき
私は見知らぬ終着駅へ たどりつくだらう
そこにはただ 冷たい風が吹いてゐるばかり
失はれた季節の 激しい雪のふりしきるなか
私は独り あのガタゴトと鳴る車輪のひびきを
いまも心の底で やさしく聴きつづけてゐる


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