眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

夢のなかの乗客

小説/詩

遠い雪の夜の 底からひびく汽笛の音(ね)は
まるで私をよぶ あなたの声のやうに切ない
私はひとり 青い寝台のくらがりのなかで
あたたかい幻につつまれるやうに 眼を閉ぢる
ガタゴトと震える 昭和の夜汽車のまどわく
窓のそとは はげしい白のあらしだつたらうか
けれど夢のなかで あなたはしづかに微笑み
私の凍えた手を そつと包みこんでくれる
あんなに遠くへ 行ってしまつたはずのひとが
この狭い二段寝台の すぐとなりに腰をかけて
すぎてゆく駅のともしびを 一緒に見てゐる
汽笛がまたひとつ 闇のむこうで長く尾をひき
私は夢のなかで 切なくあなたに逢つてゐる
もうどこへも行かないでと 心で願いながら


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