仁田峠にて
かげろふのようになめらかな峰のあいだに
夕月は白く 寂しい光をこぼしてゐる
おまえはなぜ そんなに静かなのか
風にちぎれた雲の片端(かたはら)を追ふやうに
夕月は白く 寂しい光をこぼしてゐる
おまえはなぜ そんなに静かなのか
風にちぎれた雲の片端(かたはら)を追ふやうに
むかしの夢が そこらの草に宿り
木立のかげに 青い影がのびてゆく
私はひとり 冷たい石に腰を下ろし
遠い海原(うなばら)の気配を胸にきく
木立のかげに 青い影がのびてゆく
私はひとり 冷たい石に腰を下ろし
遠い海原(うなばら)の気配を胸にきく
おゝ たそがれの美しいあやまちよ
言葉はみじかく 思いは果てしない
ただひとすじの細い光をたよりに
私の心は あの月に触れようとする_
言葉はみじかく 思いは果てしない
ただひとすじの細い光をたよりに
私の心は あの月に触れようとする_