眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

季節外れの宿にて

小説/詩

季節のすぎてしまった温泉地の
古びた宿の だれもゐない廊下
夜の闇は おどろくほどに深く
私の足音だけが ひそやかに消えてゆく
昼のざわめきは もうどこにもない
古びた障子の隙間から
あのかすかな硫黄の匂ひと
冷たい夜気(やき)が そつと忍び込んでくる
窓の外には ただ一箇(ひとつ)の夕月と
またたくことを忘れたやうな 微かな星
私はこの深い闇の底で
完璧な独りであることに 深く息をつく
おゝ 失はれた時間のやうなこの部屋で
寂しさは 私を優しく育む毛布のやうだ
だれも来ない だれも呼ばない
この静けさだけで 私はあんなに充たされてゐた


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