眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

風の森によせて

小説/詩

僕はまた ひとりで帰つて来たけれど
なにひとつ語らぬ うつろな風の森よ
梢をわたる かなしいソナチネのやうに
遠い幼い日のあしおとが いまもきこえる
ごらん 冷たい月明かりのしづくが
ぬれた僕のまぶたに そつとこぼれるのを
あんなに輝いてゐた みどりの季節は
夜の青いひかりのなかに しづかに消えた
風はすぎてゆく 暗い木立のあひだを
帰らない僕の時間を ささらさらと笑ひながら
もう二度と あの光はもどらないのに
僕はただ 草の上に身をよこたへ
凍えさうな月をあふぎ 佇んでゐるのだ……


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