眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

蒼の夜汽車に寄せて3

小説/詩

夜汽車は ひとりきりの僕を乗せて
昏(くら)い夜の谿(たに)を ひたすらに走る
耳の底で 鳴りやまぬ古いチェロの音楽(うた)は
もう 誰の記憶でもない 寂しい調べだ
窓のむこうの どこまでも青い闇から
冷ややかな月の光が 追つてくる
いくら速度(はやさ)をあげて 逃げやうとも
あの白い光は 僕の肩を 離さうとしない
あゝ 遠い秋の日の 燃えるやうな紅葉(もみぢ)も
いまは 闇のなかに 埋もれてしまつた
すべては 過ぎ去つてゆく幻(まぼろし)なのに
なぜ 月の眼差しだけが 仆(ぼく)を呼び戻すのだらう
硝子(ガラス)の露(つゆ)は 涙のやうに流れ
古い弦の音(ね)も どこかへ途絶(とだ)えゆく
月よ 追ふのをやめておくれ、僕はゆくのだ
あのあかい葉の 降り積もる 終の駅へ——


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