眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

心の逃亡者4

日記

ああ、私はなんと嫌な、浅薄な男なのだろう。
盛りのついた獣の如き人間たちを、心の中で「浅ましい」と蔑み、自分だけは高尚で、清らかな月光の住人であるかのような顔をしている。ガス灯の影で黒い野良犬に語りかけながら、孤高の逃亡者を気取っている。
だが、その実、私の中にあるのは、煮詰めたような「知識人」の傲慢さだけではないか。
本を少しばかり読み、言葉をいじくり回せるからといって、私は彼らより偉いとでも思い込んでいるのか。
彼らは恥も外聞もなく、ただ生きて、欲望し、泥を這ってでも生を営んでいる。その剥き出しの執着を「下品だ」と冷笑する私の方が、よっぽど生命力の抜けた、幽霊のような、不誠実な存在ではないか。
私は彼らを恐れているのではない。
ただ、必死に生きている彼らの「生の熱量」に嫉妬し、そこに入り込めない我が身の冷酷さを、高尚な孤独という言葉で粉飾しているだけなのだ。
「お前は、何様のつもりだ」
月光が、私の頭のてっぺんから冷や水を浴びせるように、その欺瞞を照らし出す。
黒い野良犬さえも、私のこの、教養という名の薄っぺらい衣をまとった自意識の塊を、見限ったように鼻で笑って去っていく。
私はただ、言葉の玩具(おもちゃ)を弄ぶことしかできない、無力な、そして傲慢な道化師に過ぎない。他者を蔑む資格など、この男のどこにあるというのだ。
この傲慢さ。そして、その傲慢さに気付きながらも、やはりあの浅ましい喧騒には戻れないという、救いようのない卑怯さ。
私はこの夜の散歩の途上、己の底知れぬ罪悪感に押しつぶされそうになりながら、ただ、冷たいアスファルトの上に、情けない涙を落とすばかりである。


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