眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

秋麗の風によせて

小説/詩

だれを待つともなく 古い宿場の軒端(のきば)に
秋のひかりは ただ哀しくたまつてゐる
かつてあれほど賑やかだつた つめたい石畳を
いまは寂しい風だけが ひとりで吹きすぎてゆく
遠い山の手のひそやかな伽藍(がらん)から
おそい夕暮れの晩鐘が ひとつ、またひとつと響いてくる
それは消えゆくもののやうに ひろごる影のなかへ
あの日と変わらぬ うつろな時の音を運んでゐる
――秋が かうして 静かにかへつて来た
置き去りにされた 古い道標(みちしるべ)に寄り添ふやうに
透きとほる風のなかに 私はこぼれる涙を拭ふ
すべてはうつろひ 二度と戻らない日々の
しかし確かななごりを この胸に深く抱いて
私はただ 暮れなづむ高原の寂暮をきいてゐる


#日記広場:小説/詩