眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

秋麗2

小説/詩

あの人が乗った汽車が、赤くて小さい尾灯を夜闇の向こうへ消し去ってから、もう一週間が経ちます。
秋麗の風は、相変わらず冷たく、容赦なく、私の頬を叩き続けています。あの人が言っていた通り、この風は世界からすべての温もりを奪い去ろうとしているかのようです。
昨日、私の元に、一通の汚れた封筒が届きました。
中に入っていたのは、あの人がいつも持ち歩いていたノートから、震える手で引きちぎられたと思しき、たった一枚の紙切れでした。鉛筆の芯が何度も折れたような、ひどく歪んだ文字で、こう書きつけられていたのです。
「あれから、汽車の中でずっと考えていました。
私のあんな泣き言を聞かされたあなたは、きっと今頃、ひどく迷惑して、私のことを軽蔑しているに違いないと、その恐怖ばかりが私を責め立てるのです。
やはり、私のような人間は、生まれ落ちるべきではなかったのでしょう。
神様から見放され、人間からも失格の烙印を押された私は、あの夕暮れのホームに、心も、愛されたかったという願いも、すべて置いてきてしまいました。いま動いているこの身体は、ただの抜け殻に過ぎません。
けれども、あなた。
あの冷たい風の中で、あなたがほんの一瞬だけ、私の凍えた手を見つめてくれたこと。
それだけが、私の生涯で唯一の、本物の陽だまりでした。
私はこれから、誰も知らない、風も吹かない、暗くて静かな場所へ行きます。
そこなら、もう道化を演じる必要もありません。
身勝手な私を、どうか許さないでください。ただ、もしも許されるなら、ほんの時々でいい。あの秋麗の風が吹く夕暮れに、私のことを、あんな哀れな奴がいたなと、思い出してはくれないでしょうか。
さようなら。
あなただけは、どうか、お仕合わせに。」
手紙は、そこで途切れていました。
私はそれを何度も読み返し、胸が引き裂かれるような想いで、あの誰もいない駅のホームへもう一度向かいました。けれどそこには、ただ冷たい秋の風が、ヒューヒューと虚しく吹き抜けているばかりで、あの人の影はどこにも残っていませんでした。


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