眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

風の中で ――普賢岳に寄せて

小説/詩

そこには青い冷たい翳(かげ)があつた
有明の海をわたつてくる風のなかに
ひとつの山が しづかに濡れてゐた
すでに失はれた 遠いふるさとのやうに
私は灰色の光のなかに立ち
雲のゆききをただ見上げてゐる
ちひさな窓から吹きこむ風のやうに
私の心は かすかに震へてゐた
おまへは知つてゐるだらうか
あの険しい嶺(みね)が湛(たた)へる寂しさを
あはく消えゆく夕ばえのうつろひを
けふも私のなかで風がうたふ
もう戻れぬ異郷の その山なみに向かつて
ちぎれる雲のやうに ただ独り


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