月よりの使者
どこからか届いたかすかな便りのように
今夜、私の窓辺に銀色の光が降りてくる
それは遠い、誰も知らない国からの
冷ややかな、けれど優しい眼差し。
今夜、私の窓辺に銀色の光が降りてくる
それは遠い、誰も知らない国からの
冷ややかな、けれど優しい眼差し。
あなたは静かに夜の底を歩いてきた
青い星たちのあわい影をあつめて
その薄い外套の裾からは
葡萄の香りのような、古い記憶がこぼれる。
青い星たちのあわい影をあつめて
その薄い外套の裾からは
葡萄の香りのような、古い記憶がこぼれる。
「忘れてしまったのか」と
風の鳴るような声が、部屋の隅でささやく
けれど私は何も思い出せない
ただ、胸のなかに冷たい泉が湧くだけだ。
風の鳴るような声が、部屋の隅でささやく
けれど私は何も思い出せない
ただ、胸のなかに冷たい泉が湧くだけだ。
月よりの使者よ
しばらくここに、私の机の前にいておくれ
ろうそくの炎が小さく揺れるあいだ
あなたの旅の話を、言葉にならない歌を
私に聞かせておくれ。
しばらくここに、私の机の前にいておくれ
ろうそくの炎が小さく揺れるあいだ
あなたの旅の話を、言葉にならない歌を
私に聞かせておくれ。
夜が明ければ、あなたはまた
透明な空の彼方へ帰っていくのだろう
私の手のひらに、ひとしずくの
冷たい光の記憶だけを残して。
透明な空の彼方へ帰っていくのだろう
私の手のひらに、ひとしずくの
冷たい光の記憶だけを残して。