無常の月
見上げる空には、ただ冷たく冴え渡る月。
満ちては欠け、形を変えても、あの光だけは何も語らない。
人の世の営みも、愛憎の果ても、
すべてはあの白い光の下で、泡沫(うたかた)のように消えていく。
満ちては欠け、形を変えても、あの光だけは何も語らない。
人の世の営みも、愛憎の果ても、
すべてはあの白い光の下で、泡沫(うたかた)のように消えていく。
昨日の友が、今日の敵になる。
固く交わした誓いほど、脆く崩れ去る。
そんな無常の理(ことわり)を、私は嫌というほど見てきた
それが、この街で生き残る唯一の術だ。
固く交わした誓いほど、脆く崩れ去る。
そんな無常の理(ことわり)を、私は嫌というほど見てきた
それが、この街で生き残る唯一の術だ。
月光が、路地裏の水溜まりを鈍く照らしている。
濁った水に映る月を、容赦なく踏みつけて行く。
形あるものはすべて壊れ、美しい記憶ほど早く色褪せる。
ならば最初から、永遠など期待しなければいい。
濁った水に映る月を、容赦なく踏みつけて行く。
形あるものはすべて壊れ、美しい記憶ほど早く色褪せる。
ならば最初から、永遠など期待しなければいい。
あの月は、すべてを知っている。
私がここで倒れようと、誰かがどこかで泣いていようと、
ただ冷然と、世界を等しく照らし続ける。
私がここで倒れようと、誰かがどこかで泣いていようと、
ただ冷然と、世界を等しく照らし続ける。
「無常か。悪くない」
消えゆく煙草の火を月にかざし、小さく笑う。
移り変わる世界の中で、変わらないのは私の孤影
終わりのない夜の闇へと消えていく。
移り変わる世界の中で、変わらないのは私の孤影
終わりのない夜の闇へと消えていく。