背表紙の虚栄3
第一部:ココアの苦味
読書感想文の原稿用紙
奴らはそこに 己の戦場を築く
主人公の過ちを 厳しい検察官のように糾弾し
いかに自分が 正しい道を歩んできたかを
マス目の檻に 叩きつける
奴らはそこに 己の戦場を築く
主人公の過ちを 厳しい検察官のように糾弾し
いかに自分が 正しい道を歩んできたかを
マス目の檻に 叩きつける
だがな 少年
お前が裁いているその本は
お前の正しさを 証明するための鏡じゃない
冷めたココアを すする夜
本当に向き合うべきは
物語の行間から 容赦なく突きつけられる
お前自身の 脆さのはずだ
お前が裁いているその本は
お前の正しさを 証明するための鏡じゃない
冷めたココアを すする夜
本当に向き合うべきは
物語の行間から 容赦なく突きつけられる
お前自身の 脆さのはずだ
第二部:深夜の銃創
「私はこう思う」「私の経験では」
弾丸のように 繰り返される自己主張
まるで 世界の中心で 銃をぶっ放すかのように
奴らは 著者の言葉を 踏み台にして
自分のステージへと 駆け上がる
弾丸のように 繰り返される自己主張
まるで 世界の中心で 銃をぶっ放すかのように
奴らは 著者の言葉を 踏み台にして
自分のステージへと 駆け上がる
静かにしろよ
夜の風が 傷口に染みる
他人の書いた 魂の記録を
自分のハクをつけるための 道具にするな
本当に強い奴は
静寂の中で 本を閉じ
ただ 己の血を 流している
夜の風が 傷口に染みる
他人の書いた 魂の記録を
自分のハクをつけるための 道具にするな
本当に強い奴は
静寂の中で 本を閉じ
ただ 己の血を 流している
第三部:硝煙のあと
書き終えた原稿用紙を 誇らしげに掲げ
奴らは 満足そうに 街へ消えていく
自己主張という名の 硝煙だけを
教室の片隅に 残したままで
奴らは 満足そうに 街へ消えていく
自己主張という名の 硝煙だけを
教室の片隅に 残したままで
だが 誰も気づかない
本当に美しいのは
自分の意見で 塗りつぶされた紙面ではなく
物語に 打ちのめされ
一言も 言葉が出なくなった
あの沈黙の 瞬間だということを
ただ 煙草の煙が
答えを知らぬまま 宙に溶けていった_
本当に美しいのは
自分の意見で 塗りつぶされた紙面ではなく
物語に 打ちのめされ
一言も 言葉が出なくなった
あの沈黙の 瞬間だということを
ただ 煙草の煙が
答えを知らぬまま 宙に溶けていった_