秋の夜風
やはらかい ひとしきりのはじまりに
それはどこからか吹いてくる……
しづかな木の葉のまばたきのやうに
おまへの指先をかすめてゆくもの
それはどこからか吹いてくる……
しづかな木の葉のまばたきのやうに
おまへの指先をかすめてゆくもの
(おまへは 西風よ
みんな どこへいつてしまつただらう)
みんな どこへいつてしまつただらう)
とほい空のしじまから
いくつもの星の光が つめたくこぼれ
ふるへる窓を打つはしらも
いまはもう、あたたかな歌を忘れてゐる
いくつもの星の光が つめたくこぼれ
ふるへる窓を打つはしらも
いまはもう、あたたかな歌を忘れてゐる
ただ ひとたびの風が
わたしの心のひたむきな野辺を吹きぬけ
置き忘れていつたものは——
なつかしい ひとつのしづかな名前だ。
わたしの心のひたむきな野辺を吹きぬけ
置き忘れていつたものは——
なつかしい ひとつのしづかな名前だ。