眠りの森 〜言葉の雫〜

眠

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

窓辺の桔梗(ききょう)のソネット

小説/詩

うす紫の 桔梗のしづかなつぼみが
ひそやかにひらいて 秋の夜を告げる
わたしはひとり 古びた窓辺に寄りかかり
もう戻らない あのあたたかな記憶のために
(おまへは 風にふるへる秋草よ
 青いまたたきを 夜のしじまに灯しながら)
ねぢを巻きなおした ちひさなオルゴールが
硝子(がらす)のやうな音色を 優しくこぼし
かつてここに生きてゐた あかるい夏の日ざしを
冷たいカーテンは すつかり忘れてゐる
ただ ひとひらのあどけない音(ね)が
色あせた花びらのむかうへ 流れてゆき
わたしの孤独に そつと寄り添ふものは——
むかし誰かが口ずさんだ なつかしい歌のなごりだ。


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