月と星のソネット
凍てつく夜の つめたい月影が
桔梗の枯れた窓辺を 白く濡らし
わたしはひとり 古びた椅子のうえ
もう戻らない あのあたたかな夢のために
桔梗の枯れた窓辺を 白く濡らし
わたしはひとり 古びた椅子のうえ
もう戻らない あのあたたかな夢のために
(おまへは 天にまたたく星屑よ
青いまたたきを 夜のしじまに凍らせながら)
青いまたたきを 夜のしじまに凍らせながら)
ねぢを巻きなおした ちひさなオルゴールが
かすかな音色を 優しくこぼし
かつてここにあつた やはらかい秋の夜風を
冷たい硝子窓は すつかり忘れてゐる
かすかな音色を 優しくこぼし
かつてここにあつた やはらかい秋の夜風を
冷たい硝子窓は すつかり忘れてゐる
ただ ひとすじの銀河のきらめきが
色あせた部屋のすみへ 流れてゆき
色あせた部屋のすみへ 流れてゆき
わたしの孤独に そつと寄り添ふものは——
むかし誰かと見上げた なつかしい空の記憶だ。
むかし誰かと見上げた なつかしい空の記憶だ。