眠りの森 〜言葉の雫〜

眠

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

秋の草花のソネット

小説/詩

うす紫の 野紺菊(のこんぎく)のささやきが
枯れゆく草のなかに ひそかにあふれ
わたしはひとり 夕映えのなかに立つ
もう戻らない あのなつかしい季節のために
(おまへは 風にゆれる我吾(われもこう)よ
 紅い涙を そつと大地にこぼしながら)
ちひさな竜胆(りんどう)の 青い鐘の音(ね)が
冷たい霧のなかに やさしくとけてゆき
かつてここに吹いてゐた あたたかな南風を
乾いたススキの穂は すつかり忘れてゐる
ただ ひとすじの秋の夜風が
色あせた野辺のすきまを 吹きぬけて
わたしの胸に そつと残してゆくものは——
かすかに匂ふ ひとつのしづかな名前だ。


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