眠りの森 〜言葉の雫〜

眠

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

高原のオルゴール

小説/詩

草の枯れた ひろい高原のまんなかで
わたしはひとり ちひさな玩具(おもちや)をまはしてゐる……
からからと乾いた風が吹きすぎてゆくなかに
かすかにこぼれる うす青い硝子(がらす)の音色
(おまへは 古い時計のやうに
 もう戻らない時間を ひとり刻んでゐる)
見渡すかぎりの あれた野辺のむかう
ちぎれた雲が 夕映えのなかに消えてゆき
かつてここにあつた リラの花や小鳥のさへづりを
この寒々とした大地は すつかり忘れてゐる
ただ ねぢを巻きなおしたオルゴールが
つめたい風に抗(あらが)ふやうに鳴りひびき
わたしの心に そつと呼びさますものは——
むかし誰かと聴いた なつかしいやさしい歌の記憶だ。


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