眠りの森 〜言葉の雫〜

眠

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

霧のなかに消えゆくソネット

小説/詩

凍てつく夜の つめたい月影をあとに
わたしはひとり 風に向かつて歩みだす
もう戻らない あの窓辺のオルゴールと
やさしかつた桔梗(ききょう)の記憶に さよならを告げて
(おまへは 夜のなかへ消えゆく旅人よ
 ふり返ることもなく ただ影をのばしながら)
行く手をはばむ 強い風のむかうから
いくつもの星の光が つめたく降り注ぎ
かつてここで交わした あたたかな約束を
吹きすさぶ闇は すつかり忘れてゐる
ただ 東の空のひそやかな地平から
うす桃色と青磁(せいじ)色のパステルがにじみだし
わたしの姿を そつと包み込んでゆくものは——
朝焼けの光をにじませた しろい霧のしづけさだ。


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