霧のなかに消えゆくソネット
凍てつく夜の つめたい月影をあとに
わたしはひとり 風に向かつて歩みだす
もう戻らない あの窓辺のオルゴールと
やさしかつた桔梗(ききょう)の記憶に さよならを告げて
わたしはひとり 風に向かつて歩みだす
もう戻らない あの窓辺のオルゴールと
やさしかつた桔梗(ききょう)の記憶に さよならを告げて
(おまへは 夜のなかへ消えゆく旅人よ
ふり返ることもなく ただ影をのばしながら)
ふり返ることもなく ただ影をのばしながら)
行く手をはばむ 強い風のむかうから
いくつもの星の光が つめたく降り注ぎ
かつてここで交わした あたたかな約束を
吹きすさぶ闇は すつかり忘れてゐる
いくつもの星の光が つめたく降り注ぎ
かつてここで交わした あたたかな約束を
吹きすさぶ闇は すつかり忘れてゐる
ただ 東の空のひそやかな地平から
うす桃色と青磁(せいじ)色のパステルがにじみだし
うす桃色と青磁(せいじ)色のパステルがにじみだし
わたしの姿を そつと包み込んでゆくものは——
朝焼けの光をにじませた しろい霧のしづけさだ。
朝焼けの光をにじませた しろい霧のしづけさだ。