独りの窓でb
あかるい窓を、夕暮がそつと閉ざしてゆく
淡いひかりのすきまに、一羽の小鳥が啼いてゐた
それはいつか、僕がどこかに失くしたものの
かすかな名前を呼ぶやうに、ふるへてゐた
淡いひかりのすきまに、一羽の小鳥が啼いてゐた
それはいつか、僕がどこかに失くしたものの
かすかな名前を呼ぶやうに、ふるへてゐた
風のなかに、僕はただ独りで立つてゐる
忘れてきたものは、もうどこにも見つからない
かわいた草の匂ひと、あやふやな影のなかに
ただ、さびしい音楽だけが、ながれてゐた
忘れてきたものは、もうどこにも見つからない
かわいた草の匂ひと、あやふやな影のなかに
ただ、さびしい音楽だけが、ながれてゐた
あれは遠い、あきらめの夏の日々
僕の指先が、ガラスのむこうを指さす
そこにはただ、紫の夕闇がひろがるばかり
僕の指先が、ガラスのむこうを指さす
そこにはただ、紫の夕闇がひろがるばかり
小鳥はもう、どこかへ飛び去つてしまつた
閉ざされた窓の、つめたいガラスに
いまも秋の黄昏が、あふれるようにつづいてゐる
閉ざされた窓の、つめたいガラスに
いまも秋の黄昏が、あふれるようにつづいてゐる