硝子の波止場
午前二時
街の灯りが海に溶ける頃
俺は最後の煙草に火をつけた
湿った潮風が
肺の奥の傷口をちくりと刺す
街の灯りが海に溶ける頃
俺は最後の煙草に火をつけた
湿った潮風が
肺の奥の傷口をちくりと刺す
「行かないで」と
引き留めるような甘い台詞は
この港の霧笛がかき消した
最初から
俺の行く先を知る者は誰もいない
引き留めるような甘い台詞は
この港の霧笛がかき消した
最初から
俺の行く先を知る者は誰もいない
コートの襟を立て
夜霧のなかへ一歩を踏み出す
背後で波が
すべてを洗い流すように嗤っていた
夜霧のなかへ一歩を踏み出す
背後で波が
すべてを洗い流すように嗤っていた
さらば、愛した街よ
重い足音だけを
この冷たいコンクリートに残して
重い足音だけを
この冷たいコンクリートに残して