天使の棲む街

くりす

日々の事やら趣味の事、たまに気まぐれに短編詩とか徒然に…。

1000年前の草食系男子?

小説/詩

現在瀬戸内寂聴さん訳で改めて「源氏物語」を読み直してるとは以前も書いたとは思います。
ちまちま読み進めてようやく第一の難所である須磨、明石を抜け3巻まで読み終わりました。
いやぁ、さすが「須磨がえり」という言葉があるだけあって…「須磨」は

恐ろしくつまらんのです(´・ω・`)

いや、詰まらないって程じゃないんですが
とにかくあっちでもこっちでも人々がさめざめと泣いてばかりで話が進まないというか…。
仮に登場人物の誰それが亡くなったならまだ我慢もできるけど、
源氏が自業自得で冠位剥奪され自ら田舎へ隠遁生活しに行くだけで
何でこんなに泣き喚くのかと…。
「僕ちゃん何も悪い事してないのに、無実の罪でこんな片田舎へ流されました;;」
とか延々嘆いているのに付き合わされるだけのたるい帖であります(酷)

そんな中どうにもこうにも私の目をひきつけて離さないのが、
桐壺帝の第一皇子にして源氏の兄宮でもあり、この頃の帝でもある朱雀帝です。

彼は源氏の君の母親である桐壺更衣をいびり倒したあの弘徽殿の女御の息子です
…が、誰に似たのか当の朱雀さんはいたって気弱で
お母さんには逆らえない優しく従順な息子さんであります。
源氏の君には父帝に似ており、それでいて女にして拝したいと思わせるような容姿だった
という事で、外見はかなり中性的な雰囲気を持つ優美な方だったようです。

しかし、帝の第一皇子、東宮、帝として人としての栄華の極みを歩んできた朱雀さんですが、
実際の所はどうだったのでしょうか?

東宮時代は源氏の君の華やかさ、父帝の源氏の君への寵愛に押され日陰の身。
帝位に就いてからも、入内間近だった婚約者を源氏に寝取られ、
母后や右大臣にいいように政権を握られ形だけの帝位に座らされ、
帝の位を東宮に譲り、長年想い続けていた前斎宮と結婚を願うも
その斎宮を源氏の政略結婚の駒として使われ阻まれるという
ことごとく源氏とその他大勢に翻弄され続けた人生でした。

そんな彼ですが不思議と源氏の事は憎んでおらず、
むしろこの弟が大好きで仕方ない様子。
自分の愛する朧月夜の君と源氏が通じていても
「あんなに素晴らしい男なんだから仕方ない。まして入内する前から続いているのだから」
と許す始末。
それどころか、晩年溺愛していた自分の娘女三の宮の後見がわりと称して
源氏の君に嫁に貰ってくれと懇願してすらいるのです。
アンタどれだけ弟大好きだ(´・ω・`)

しかし、あまりにも人が良すぎて男としての魅力に欠けると
周りや作者にも思われていた朱雀お兄ちゃんですが
何だかんだでこれは今流行?の草食系男子なんじゃないかと…。

瀬戸内寂聴さんや田辺聖子さんも自書でよく彼の性格の特殊性を挙げておりますが
不思議な人だと思われてる半面、それほど感触は悪くなく…。

そうだよなぁ…源氏の君のようにその時々で誠実さ加減が変わる
実体のないスーパーマンのような人物像よりもむしろ、
優しくて頼りないけどそれ故に大きくて深い変わらない愛情を持つ
朱雀お兄ちゃんの方が現代人には信頼できてしっくりくるのかもしれないですね。

まぁこまごまと色々書きましたが、要は何を言いたいのかというと

朱雀お兄ちゃんLOVE!!ヽ(´∀`)ノ

むしろ源氏よりお兄ちゃんの方がいい男じゃないのかと…。