五月雨♪*。

【人と妖と硲者】第二部 第一章 序章

自作小説


江戸時代末期のある小さな街。

この街には妖に関する事件が頻繁におこっていた。

妖の存在を信じない街人なんて居なかった。

そんな街の隅の方。

山に面した所にある古道具。

店の主人は閻魔面と言われる程に顔つきが怖いが、仕事は丁寧だと評判の良い店。

時々、店の前を箒で掃く幼い娘の姿も見られた。

主人曰く「親戚の子供を預かっている」のだそうだ。

彼女が来てから客は増えたようだった。

店に入れば、よく出会う不思議な雰囲気を持った女性がいる。

彼女は店の者ではなく、主人との知り合い。

ここに来るのは暇つぶし、だそうだ。


彼らの正体を知るものはこの街にはいない。

彼らが人間と妖、両者の力を持つ硲者だと言う事を。