なるべく気楽に気楽に~!

紫音-sioto

精神的な疾患を持ってる私の気楽に気楽に生きたい願望です~!
ちょこちょこ愚痴も入りますが、嫌な思いをされる方がいたらすみません><

柔くしなやかな月の下で

自作小説

第十三章

朝食を食べ終えた後、彼はお茶碗迄洗ってくれて二人してゆっくりした後、
「俺、そろそろバイト行ってきますね!」そう言い残して私一人の空間になっていた。
朝食を食べている時に、彼へと「どうして花屋のバイトを選んだの?」そう尋ねた時に、
「あぁ…えっと、好きだった人が訪れないであろう場所を選びました…」そんな風に答えていた。
確かに、彼の話だとお酒が好きな女性でセックス依存症…「花なんて飾りそうもないな…」と
一人の空間の中、納得していた。
今日は確か二十一時迄のバイトだったな、と私はふと思いに耽って、
「私もカメラでも買ってこようかな…」と呟いていた。
彼と出逢って、私も月を見上げる事が増えた様に思う。
「月の写真を撮るのも良いかもしれないな」と思い立った私は、身支度を整え
少しばかり遠くにある家電を取り扱っている店へと足を運んだ。
店内へと入った私はカメラを扱っているコーナーへと真っ直ぐと足を運んだ。
カメラの知識は一切ない私だが、色々と陳列されているカメラを触り出してからは
楽しくてしょうがなくなっていた。
シャッターを切る音や、画質、画面の大きさ…。諸々。
どれが良いのか分からないなぁ…と思っていた時に、タイミング良く店員さんが声を掛けてくれた。
「カメラをお探しですか?」…「あ、はい」とにこやかに答える。
「私、カメラの知識もなくて初心者に良さそうな物ってありますか?」と尋ねると
「そうですね、それでしたらこちらのカメラ等如何でしょう?」と
一つのカメラを差し出された。
「カメラ初心者さんには良いかと思われますが」…「少し考えてみます」と答えると
「はい、なにかありましたらお声掛けて下さい」と、にこやかに私一人にしてくれた。
私はそのカメラの画質や、サイズ感、手軽さ、勿論値段も色々と考えた上で、
「これ、良いかも…」と心を持っていかれた。
私は、決心し先程話し掛けてくれた店員さんへと声を掛け、「すみません、これにしてみます」と伝え、
「かしこまりました、このカメラは使い勝手も良いものですので、気に入って頂けて嬉しく思います」
「ありがとうございます」…「お色はどの色になさいますか?」と聞かれ、
迷うことなく「黒でお願いします」…「かしこまりました」と手際良く話が進んでいく。
私は初めて「カメラ」という物に触れてみたのだが、これがなかなか面白そうに感じていた。
「準備いたしますので、少々お待ちください」と、レジの方へと案内される。
三、四時間は迷っていたのが嘘だったかの様に、レジはスムーズに終わり、
「お買い上げ、ありがとうございました」と終始にこやかに店員さんは私を送り出してくれた。
私は、初めて「カメラ」を買った事にもわくわくして、帰り道も足取りが軽かった。
帰宅したときには十七時を廻ろうとしている頃だった。
早速カメラを袋から取り出し、触ってみる。
何だか心が高鳴る様な感覚を覚えながらも、このカメラはBluetooth接続も可能な様で
説明書を読みながら、一つ一つ私に出来る事をしてみた。
まずは、何かを撮ってみよう、そう思い立った私はリム君が数日前に買ってきてくれた花を撮ってみた。
「おぉ…」と声を上げてしまう程に綺麗に撮れた写真に感動してしまい、スマホへと移動してみる。
「初心者にしては上手く撮れた?」なんて独り言を呟き、部屋の色んな物を撮ってみる。
煙草や、香水、ハンカチ、諸々。
「面白い」と思う迄に時間は掛からなかった。
カメラへと向き合い始めてから、時間はあっという間に時間が過ぎていて、
リム君が帰宅する迄私は集中しっぱなしでカメラ遊びをしていた。
彼が帰宅する音も分からなかった私は、「すずさん?居ますか?」と声を掛けられる迄
気が付かなかった。
部屋の電気も付けずにいた私は「リム君、おかえり」そう言って部屋の電気を付けた。
「ただいまです!びっくりしました…すずさんが居ない事なかったから…」と
彼を不安にさせてしまったのかと思い、「ごめんね?私、集中力高いっぽくて」
と笑って夢中になっていたカメラを見せた。
「おぉ!どうしたんですか?それ!」…「買って来ちゃった」なんて会話をした。
月が綺麗に光っていた夜だった。