なるべく気楽に気楽に~!

紫音-sioto

精神的な疾患を持ってる私の気楽に気楽に生きたい願望です~!
ちょこちょこ愚痴も入りますが、嫌な思いをされる方がいたらすみません><

柔くしなやかな月の下で

自作小説

第二十章

季節は十二月、リム君と「恋人」になってから二か月が過ぎようとしていた。
「恋人」になったあの日から、私達はベッドで眠る様になっていた。
向かい合わせに抱き合い、キスを交わし「おやすみ」と二人で眠りに落ちる。
朝は相変わらず、彼が先に起きていて食事を作ってくれる。
変わった事と言えば、私が仕事の日には必ず抱き締め合い「いってきます」とお互いに言い合い、「いってらっしゃい」とキスをする。
そんな穏やかな日常が続いていた。
少しづつ彼の「分離不安症」も良くなって来ている様に感じる日々だ。
「あぁ、今日も遅くなっちゃったな…」と帰路に着いていた私は夜空を見上げ、今日は月が無いんだなとなんだか寂しくも感じていた。
マンション近くへと着いた私は自分の部屋へと目を向け、電気の付く様になった部屋へと帰って行く。
部屋の前迄の足取りはいつも軽く、楽しそうな私がいた。
鍵を開け、「ただいま」と彼へと声を掛ける。
リビングからは「あ!すずさん!おかえりなさい!」と大きな声が返って来た。
「今、手が離せなくて!」と、今日の晩御飯はカレーなのだとすぐ分かる匂いに、「大丈夫よ、良い匂い」と彼へと声を掛ける。
リビングへと向かった私は、彼の背後へ周り抱き締めながら、「カレーかぁ、お腹空く匂いだよね」なんて言いながら、ぐつぐつと煮詰まりつつあるカレーへと目を向けた。
「すずさん、こっち向いて」と言われ、顔を彼へと向けると優しくキスをしてくれた。
「作ってる俺も見て」なんて笑いながら言う。
「あはは」そんな空間や言葉達が「幸せ」だと思わせる。
「カレーもそろそろ出来るんで煙草でも吸ってて下さい!」…「ありがとう」と彼から離れようとする私の腕を掴んで、「も、いっかい」とキスを強請る彼に笑いながら「はーい」と笑い優しくキスをする。
「手を洗ってくるね」と伝え、洗面台へと向かう。
手を洗い終え、煙草でも吸おうと思いリビングへと戻ると彼は、「そろそろ出来ますよ!」と私を急かすかの様に笑いながら言う。
「一本だけ吸わせて」と私も笑いながら彼へと言う。「一本分の時間、煮込んであげます!」と
相変わらず面白い事を言う彼にクスクスと私は笑ってしまった。
「ありがとう」そう伝え、煙草に火を点ける。
テーブルにはいつも何かしらの花が飾られるようになっていた。
「今日はガーベラ?」…「そうです!可愛くないですか?ガーベラ!」私の吸う煙草一本分の時間の会話。彼の話によるとガーベラの花言葉は「希望、前向き、常に前進」があるとの事だった。
「良いね」と煙草を吸いながらガーベラを見つめる。
綺麗な彩のガーベラを見つめ続けていた私に彼は「なんか…お仕事頑張ってるすずさんみたいだなって思って…」と照れ臭そうに言った。
「ありがとう、リム君」私を良く観察してくれている様でなんだか、嬉しくも照れ臭くもなった。
いつの間にかカレーが運ばれてきていて、「ご飯にしましょ!」と私へと笑顔で言ってくれる。
「そうだね、お水入れて来るよ」と私はキッチンへと向かった。
二人向かい合って、笑い合いながら食事をする。そんな時間がとても「幸せ」な空間だった。
「美味しいね」と言うと、彼はいつも自慢気に「そうでしょ?」と笑うと、私も一緒に笑って居た。
食事を終え、必ず私の隣へと来て手を繋ぎながら煙草を吸う彼の横顔を見つめていた。
綺麗な顔をしているな、と常に思う。
そんな事を思いながら見つめていると彼は「ん?」とにこやかに笑顔を向けてくれる。
「なんでもない」と私は彼へと返すと「なんですか!?」と面白半分で応えてくれる。
彼が煙草を吸い終える頃に、「さ、お風呂入ろう」と私は着替えに立つ。
「恋人」になってからも、お互いの身体を求める事はしない私達だったが、それがきっと心地良かったのだと思う。
「私先でも平気?」そう尋ねると「はい!ゆっくりお風呂浸かって下さい!」と私をお風呂場へと向かわせてくれる彼が居た。
「ありがとね、ゆっくりしてて」と伝え私は着替えを持ちお風呂へと向かう。
お風呂に浸かりながら、私は鼻歌なんて歌っていた。
指がふやける程、湯船に浸かり十分温まった所で私はお風呂から出た。
着替えを済ませ、「リム君?お風呂入っといで?」と声を掛ける。
「あ!はい!ありがとうございます!」と彼はお風呂へ、私はメイクルームへとお互いに違う場所へと足を運んでいた。
私の長い髪の毛が乾かし終わる頃、「お風呂あがりました!」とメイクルームの私へと声を掛けてくれた。「スキンケアしちゃうから、先に横になってて」と伝えると、「煙草吸って待ってます!」と
リビングから彼からの返事があった。
「すぐ終わるから、待っててね」と伝え、スキンケアをしいつも通りの香水を纏い、
リビングへと出た私だった。
彼は髪をくしゃくしゃと拭きながら、「あ!おかえりなさい!」と私を待っていてくれていた。
「ドライヤーする?」と私が聞くと、「あぁ…そうですね」とタオルドライでは乾かないであろう
少し長くなった髪を触っていた。
「おいで?」と私は彼をメイクルームへと呼ぶと、「…はい」と緊張気味にメイクルームへと入って来る。まだ少し、怖いのかもしれない。そんな不安感を取り除くかの様に、私は「さ、髪乾かすよ」と言った後に、ドレッサーへと座って貰い私は彼の濡れた髪を乾かし始めた。
「…ありがとうございます」そんな事を言いながら彼は笑って居た。
癖のある柔らかい髪の毛はあっという間に乾かし終わる。
「煙草吸って寝ようか」…「そうですね」そんな「幸せ」を感じる会話。
二人してリビングへと出て、換気扇の回る中隣に座る彼の手を握り、煙草へと手を伸ばす。
お互いに煙草を吸いながら、今日は月が出てなかった事やそれぞれの一日をとめどなく話す時間。
煙草を吸い終えた私は、「薬飲んでくるから待ってて」と伝え、キッチンへと向かう。
薬を一気に飲み、「そろそろ寝ようか」と彼へと声を掛ける。
「はい」と彼は一つ返事をし、吸い終わった煙草へと目を向けていた。
彼の隣へと私は座り、「煙草、まだ火ついてる?」と尋ねる。…「そろそろ消えますね」と彼は答えた。
一つの線をほんのりと残した煙草はいつの間にか消えていた。
「さぁ、寝ようか」とぼんやりとして来た私はベッドルームへと向かう。
彼は「あ!はい!」とリビングの電気を消してくれ、私の後に続いた。
ベッドへと潜り込むと、彼も一緒に入ってきてくれていた。
向かい合わせに横になり、ぼーっとした目で彼の顔や頭を撫でた。
彼は「すずさんのいつもの香り、凄く好きです」そう言って私の顔を彼も撫でてくれる。
私は花の香りの香水を好んでいた。
「そう?」と頭の回らなくなって来ていた私は答え、抱き締め合う。
お互いの香りを覚えるかのように吸い込み、顔を見合わせ、キスを交わす。
「私もリム君の香り好きだよ」…「おやすみ」と伝え合い月明りの無い真っ暗な空間の中で、何度もキスを交わしながら二人して眠りへと落ちて行った。

  • .:*みん.:*

    .:*みん.:*

    2024/04/14 18:30:00

    幸せそうな二人 読んでいて私まで幸せになれそうです
    きっと 二人の中では たくさんの葛藤をまだ抱えているのでしょうけれど
    それも少しずつ 溶けてなくなっていくといいな と思いました
    カレーの香り
    たばこの香り
    香水
    その人の香りも混ざって たった一つの香りになって
    それを 好き と言ってくれる人と出会えたことは
    本当に良かったなあって思います(*´꒳`*)