僕のノーコンをControlしないで下さいっ!!

thz夢櫻

徒然なる侭に・・・w

シズイザSS2(※臨也は居ませんw)

小説/詩

「好きな奴が出来たんだ」

静雄が重い口を開いた。
親友の突然の吉報にセルティ・ストゥルルソンは胸を躍らせずにはいられなかった。

『おお!おめでとう!!』

相手はどんな人か?とも聞いてみたかったが、静雄の面持ちを見ているとそんな気にもなれなかった。

『何かあったのか?』

PDAに文字を走らせる。
静雄は顔を伏せたままだ。
少ししてから煙草を手に取り、大きく息を吐き出した。

「好きになっちゃあいけなかったのかもな」

『好きになってはいけない相手なんているのか?』

デュラハンである彼女は人間である岸谷新羅と恋仲にある。
そんな彼女には『好きになってはいけない相手』というものが皆目予測も付かずにいた。

「相手は俺なんかに好かれたとあっちゃあ迷惑だろうよ」

煙草の煙が冷えた風に晒され棚引いては消えていく。

『そんな事は無い!私は、静雄に好かれて嬉しいと心から思っているぞ?』

「そりゃあお前と俺が親友だからだろ」

静雄が何を言わんとしているのか解らずに暫らく考え込んでいると、静雄がおもむろにセルティの上半身に抱き付いてきた。
抱き締められて動揺しつつもPDAに手を伸ばすが、こうも固められては文字が打てない。

「急ににこんな事されたら普通迷惑だよな」

静雄がセルティから離れる。

『私には新羅がいるから』

恥ずかしそうに顔を背けるセルティに対して、思ってもみなかった返答に笑いが込み上げた。

『笑う所か?』

「悪ぃ悪ぃ。そうだな、俺が悪かった」

『でも』

「ん?」

『抱き締められてまんざら悪くなかった。心地良さを感じた。それはきっと静雄がその人の事を本当に大切に想ってるからなんだって凄く伝わった』

静雄は少し素っ頓狂な顔をした後、フワリと笑みを浮かた。

『逆にこんなに想われているのに静雄を振る奴がいたなら私が見てみたい!その、なんだろう。静雄は静雄だからいい!!自信を持っていい所だ!!』

何かに興奮気味のセルティの頭をポフポフと撫で、

「買い被り過ぎだっての」

静雄は煙草の火を静かに消した。

「じゃあ、俺そろそろ行くわ」

『ああ』

「今日は有難うな」

そう言い残した静雄の背中が少し照れ臭そうに感じたのは気の所為だろうか?
そんな事を思いながらセルティもまたバイクに跨り、漆黒の夜の闇へと姿を消した。