【小説】真夏の罪 その⑦ 陽斗君の家
このままじゃ、ダメだと思った。
私は、陽斗君の家に謝りに行った。
陽斗君は、私を家にあげてくれた。
はじめて入る陽斗君の部屋...
「今、おふくろ、買い物でいないんだ。」
「陽斗君、ごめんなさい。」
陽斗君は私に聞いてきた。
「花火大会の日、なにがあったか、君に口から聞きたい。」
私は恐る恐る本当のことを話した。
「花火大会の日、買い物に行ったら帰りに香月君にあったの。」
「陽斗君がコロナだって言ったら、花火大会に誘われたの。」
陽斗君が言葉を挟んできた。
「それで、断たんだよな?」
私は首を横に振り、
「OKしました...。」
「どうして!?」
陽斗君は大声を出した。
「わからない!花火に行きたかっただけだと思う...。」
「でも、おかあさんには、パルちゃんと行くって言ったんだよな?」
「罪の意識があったからじゃないのか!?」
「わからない...。」
「どうして、OKしたのか自分でもわからないの!」
「それで、挙句の果てには、キスしたのかよ!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「何でもするから、許して!」
私は必死だった。
「なんでもする?」
陽斗君が聞き返してきた。
「じゃ、今、ここで、僕とキスできる?」
「えっ?」
「なんでもするんだろ?」
私は黙ってうなずいた。
陽斗君は、両手で私の肩を持った。
そうして、顔を近づけてきた。
「いやっ!!!!!」
私は思わず陽斗君を突き飛ばした。
「陽斗君のことは好きだけど、こんな形でキスしたくない!」
私は、ボロボロ泣いた。
「泣きたいには、僕の方だ。」
「大切に想っていた美桜が他の奴とデートしてキスまでしたんだぞ!」
「僕の怒りの感情は、何処にぶつければいいんだよ!」
「悪い。今日は帰ってくれ!」
「でないと、もっとひどいことを美桜に要求してしまう...」
「キス以上のことをしたら、許してくれる?」
私は意を決して、制服を脱ぎだした。
「陽斗君のすきにしていいよ。」
泣きながら、それでも笑顔を作って必死で言った。
「バカ!!服をきろよ!!」
陽斗君は私に服を羽織らせて、言った。
「好きなんだよ!!腹が立つより、許せないより、美桜が好きなんだよ!」
陽斗君は、私の両手を握りしめて
「まっててほしい。僕の気持ちが落ち着くまで...。」