【小説】真夏の罪 その⑧ 陽斗君視点
僕はパルちゃんに呼び出された。
話があると。
どうせ、美桜の事だろう...
僕は裏庭でパルちゃんを待っていた。
「陽斗君、呼び出してごめんね。」
「パルちゃんにだったらいいよ。」
「で?話って?」
パルちゃんは真剣な顔で言ってきた。
「単刀直入に聞くわね。」
「まだ、美桜の事、好きなの?」
僕はドキッとして、返事が出来なかった。
パルちゃんは、ため息をついて言った。
「じゃ、聞き方を変えるわね、陽斗君は、まだ、美桜の事許せないの?」
「...一生許せないかもしれない。」
僕は正直に答えた。
「だったら、美桜を解放してあげて。」
「えっ?どういうこと?」
僕はパルちゃんの行言ってる意味がわからなかった。
「私は、美桜と陽斗君は、別れるしかないと思ってる。」
「パルちゃん!?」
「陽斗君が美桜を許して付き合いなおしても、美桜が他の人とキスした事実は消えないのよ?」
「真面目な陽斗君んい、耐えられる?」
「それに...きついこと言うけど、ごめんね。」
「美桜はいい加減な気持ちでキスできる子じゃないわ。」
僕はハッとした。
そうだ。美桜はそんないい加減な子じゃない。
「陽斗君だって、気が付いているんでしょ?美桜が誰を好きなのか。」
わかっている...だから、美桜を許せないでいるんだ。
「美桜は陽斗君の言葉を信じて待っているわ。」
美桜は待ってくれている...
でも、美桜が本当に好きなのは、香月なんだ...
自分でも気づいていないだけで...
僕はどうしたらいいんだ...