【小説】真夏の罪 その⑨ 別れ
学校でも陽斗君と話すことは、なくなっていた。
お昼休みに一緒にしていた円陣バレーも私と陽斗君は参加しなくなっていた。
時折、香月君が校門のところで私の事、待っていたけど、無視し続けた。
2学期の中間テストは、さんざんだった。
パルちゃんが私に事心配してくれた。
――――ファミレス
「美桜、もう十分じゃない?」
パルちゃんが静かに話し始めた。
こういう時のパルちゃんは怖い。
「もう、陽斗君のこと、忘れてもいいんじゃない?」
「いつまで待っても、してしまったことは消せないわ。」
残酷な一言だった。
「それでも、陽斗君は、気持ちが落ち着くまで待って欲しいって言ってくれたの。」
「その言葉信じて待ってたらいけない?」
私はすがるように言った。
「美桜は、今でも陽斗君のこと好きなの?」
予想もしなかった質問だった。
「えっ?」
私がびっくりしてると、パルちゃんは続けて言ってきた。
「香月君とはキスしたけど、陽斗君とは、出来なかった。」
陽斗君とキスできなかったのは、あんな状態だったからよ。
決して、嫌いでしたくなかったわけじゃないよ!
「それが答えじゃないの?」
この時の私は、まだ、香月君の事が好きだとは自覚してなかったけど、確信をつかれた気がした。
私が陽斗君じゃなくって、香月君のこと好きだってこと?
そんなことない!あるはずない!
中学2年生のときから、ずっと陽斗君だけ見てきた。
フラれても、忘れられなかった。
高校になってやっと想いが報われたのよ。
今回ばかりは、パルちゃんの思い違いよ!
私は自分の気持ちに自信が無くなっていた。
――――教室
放課後、何日かぶりに陽斗君が話しかけてきた。
「岩崎さん、話があるんだ。裏庭まで付き合ってくれる?」
――――裏庭
「陽斗君...」
私が陽斗君と呼ぶと陽斗君は、厳しい表情で訂正してきた。
「吉岡だ。岩崎さん。」
その一言で、陽斗君の話したいことがわかった。
「別れよう。」
陽斗君は、単刀直入言ってきた。
私は目の前が真っ暗になった。
ショックで倒れそうになった私を、陽斗君は、もう、支えてはくれなかった。
私は、その場に膝間づいてしまった。
それでも、容赦なく陽斗君は、話を続けた。
「約束通り気持ちは落ち着いた。そして考えて出した答えだ。」
「僕は岩崎さんのしたことを一生許せない」
私はショックのあまり、涙すら出てこなかった。
「さようなら。」
そう言って。陽斗君は、その場を去って行った。