気象庁は、なぜ、震度をM9に変えたのか?
地震と原発事故情報 その(13)
東北地方太平洋沖地震はM8.4だった
『従来からの気象庁マグニチュードなら、M8.3からM8.4だった』
地震学者島村英紀氏が指摘。ほか3つの情報
1.3月18日の「地震と原発緊急集会」は、予定されていた明大リバティが全館
使用出来なくなったため場所を急遽、東京学院に変更し午後6時30分より開始した。
開始時間前から続々と参加者が集まり、およそ130名の熱気に包まれた。
まず、地震学者の島村英紀さんのレジュメから、冒頭の1節を引用する。
●今回のマグニチュード9.0というのは、気象庁がそもそも「マグニチュード
のものさし」を勝手に変えてしまったから、こんな「前代未聞」の数字になった
ものだ。
いままで気象庁が採用してきていた「気象庁マグニチュード」だと、いくら大
きくても8.3か8.4どまり。それを私たち学者しか使っていない別のマグニ
チュード、「モーメント・マグニチュード」のスケールで「9.0」として発表
したのだ。
すべてのことを「想定外」に持っていこうという企み(あるいは高級な心理
作戦)の一環であろう。
2.「想定外」と思わせるための大陰謀
気象庁Mw発表の怪?
柳田真コメント
◆島村英紀さん(地震学者)の指摘(従来の気象庁MjならM8.3かM8.4)は
今回の東日本大震災の報道を根本からひっくり返す重大事実です。
気象庁がずっと使ってきている気象庁マグニチュードをなぜ「今回」「突然に」
しかも「説明なし」で変えたのか?
◆それは、M8.4なら「想定内」であり(例えば浜岡原発はM8.4の東海地震に
耐えると中部電力は公表している)、原発推進側全部(電力会社・政府・御用学者)
が責任を問われるからだ。
M8.4の地震のエネルギーは、M9.0の8分の1になる。
◆原発推進派と政府は、M9.0と発表することで「想定外」を強調し、あるい
は「1000年に1度の地震」という言い方で責任逃れをはかっている。
許せない!「世紀の大陰謀」だ。情報操作であり世論誘導だ。
◆広瀬隆さん(作家)も「想定すべき人災=想定内だ」と指摘している。
◆「従来の気象庁発表ならM8.4の事実」をキチンとひろめ、政府と電力業界
の「想定外」(ゆえにやむを得なかった面がある)を追及しよう。
※注1:Mj…気象庁マグニチュード
※注2:Mw…モーメント・マグニチュード
※注3:地震のエネルギー総体を表すには、本来はMwがよい。ただ、それを心
ある学者が要求しても気象庁が長年採用しなかった事実がある。
これらの点は次号の情報をお待ち下さい。
3.自民党総裁が「原発推進は困難」
自民党の谷垣総裁は3月17日の記者会見で福島第一原発の事故に関して、今後
は原発を推進するのは困難になるとの認識を示した。自民党はこれまで一貫して
原発を推進する立場だったが、谷垣氏の発言は同党の基本政策の修正の可能性を
示したものと報道された。
谷垣氏は「日本のエネルギー事情を前提とする限り、ひとつの解答は原子力だ
が、現状では推進はなかなか難しくなっているのは事実だ」と発言。
原発反対派をさまざまな手を使って押しつぶし、「絶対安全」と力づくで強力
に推し進めてきた自民党の発言は腹立たしくもあるが、自民党総裁が見直し発言
をしなければならない程、福島原発の事態が深刻であることの証拠だ。この深刻
な事態に対し民主党は何の反応もみせていない。国民世論を考え、国民にむけた
メッセージを何も出せていない。完全に自民党に先を越されてしまっている。
まったくどうしようもない。