体験したいアルバイトというお題だが、やりたいことはやりたいと思っているとめぐり合わせでできるのか、それともチャンスにしがみつくためか、それなりにいろんなことをやったように思う。

一度やってみたかったのは工事などの肉体労働系だが、これは体力も腕力もないのであきらめた。
何しろ雑誌の梱包所での荷造り作業ですらふらふらになって、何度最初の予定の２週間を終えずにやめてしまおうかと思ったかわからない。
ここは完全日雇い制だったので辞めようとすれば簡単だったのだ。
毎日終了後、事務所に並んで封筒に入った日当ももらうのが楽しみだった。

証券会社の季節労働も面白かった。
決算時期、証券会社は大量の学生バイトを雇って、コンピュータの入力データが間違っていないかなどチェックさせていたのだ。
今はバーコードでピ、で終わるところを昔は手入力だったから、間違いがあっちゃいけない。
だだっ広いところでの人海戦術で昼には頭がくらくらしてくるけれど、時給は悪くなかったし、夕方仕事を終えてオフィス街を歩くとまるで自分が勤め人になったみたいで、ちょっと大人になった気がした。

面白そうだと思ったけどやってみたら大変だったのは、ガイドブックの取材。
丁度結婚退社をするところで知り合いの知り合いに声をかけられて台北を中心に１月ほど行った。
町の小道まですべてしらみつぶしに歩いて店の写真を撮り、商品について聞いていく。
当初は３人で分担して回る予定だったのに一人が直前にキャンセルし、もう一人は恐ろしくマイペースで１０日たってもノルマの地域を全然回れなかったので、仕方なく一人で町の3/4くらい回ったところで超巨大台風が来、去って行った。
街灯を根元からへし折り、店の看板をことごとくむしり去って･･･
相当数撮っていた写真は、すべて使い物にならなくなり、その年は大幅改定ができなかったらしい。
私のせいじゃなかった、と思うのだが、むちゃくちゃいやみを言われて電話嫌いに磨きがかかった。

派遣もアルバイトの一種だとしたら、パソコン通信の電話応対をやったことがある。
インターネットじゃなく、パソコン通信。
まだウィンドウズが3.1とか95の時代だ。
当時のパソコンはすぐにフリーズするし、酷い時は中身も飛んだ。
ダイヤル回線で接続するにも色々設定をしないといけない。
パソコンのこういうところをクリックするとこういう画面が出てきますから、こう入力してください、そして接続というボタンを押すとダイヤル接続が始まりますが、まだ押さないで。
電話が切れちゃいますよ。ああ～･･･切れた
ということがよくあった。
パソコン通信をしている間は家の電話は通じなかったのだ。
もちろん携帯なんて、なかったのだ。

一番思い出に残っているアルバイトは、保養所勤務かな。
失業して旅に出るまでの間、3ヶ月ほど住み込みで働いた。
お仕着せを来てお運びさんをしたり、掃除なんかをするのだ。
料理が好きだったのでお願いして盛り付けの手伝いもさせてもらっているうち、板長さんに目をかけていただいて色々教わった。
ちょっと転んだら動脈切っちゃって、血が止まらないから塩をすり込んて止めたり（板さんに教わった）、自由時間に山に登ったり、野イチゴを摘んでは焼酎に漬けて野イチゴ酒を作ったりもした。
近くに店も何もなくて、特に読む本が買えずに時々キーっとなったし、お局様に毎日のように粗探しをされたりしたけど、お陰で今の職場でも掃除はピッカピカです。
何で家でもできないのか不思議･･･