ディアスポラ
違和感だらけ。
私は、日々がんばってなどいない。
だから、「がんばって」などとは言わない。
夢も抱いていなから、
「夢を抱いて」なんて言わない。
強くもないから、
「日本は強い国」なんて言わない…。
「あなたは一人じゃない」
いいえ、私は一人です。
一人で生まれ、一人で死んでいきます。
「無縁社会」であろうとなかろうと、
一人で生まれてしまった私は、
一人で死んでいくだけです。
私はただ生きている。
それだけです。
何の目標も持たずに、
夢もなく、
流されるようにして、
生きている。
身も心も腐り果て、
それでも浅ましく生きている。
それだけです。
嫌なことばかりの毎日だけど、
生きていれば、
ほんの少し、
良いこともあるし、
ボロボロの雑巾のような生命でも、
…否、
そのような生命だからこそ、
私は私の生命が愛おしい。
「さっさと死ね」と言われても…。
一人私は、
私自身を強く抱きしめて、
死にたくないと
日々を泣いて暮らしている。
おそらく私のような人間は、
今の日本に居てはいけない人なのだろう。
だから、私の方も今の日本を必要としない。
私は、
私と同様、
ただ生き長らえているだけの人たちと
しばしの間、
手を取り合い、
この仮初めの浮き世を
愉快に渡って行けたら…と思う。
それがささやかな私の願い。
もとより故郷喪失者に
祖国など、
あろうはずもないのだし…。