穴埋め用コラムの練習
日本経済の話でもして、
少しは仕事をしている振りをします。
日経平均株価は、
10月4日、
ついに8500円を割り込み、
2008年のリーマン・ショックほど急激ではありませんが、
しかし、同程度の水準まで落ち込もうとしています。
思い起こせば2008年の暮れ、年越し派遣村が
霞ヶ関の官庁街のそばにある日比谷公園に開設されました。
派遣先企業による派遣社員の直接雇用義務を
1年から3年に延長したのが、確か2006年4月です。
ですから、リーマン・ショックがあろうとなかろうと、
2009年3月頃には大量の「派遣切り」が予想されたのであり、
リーマン・ショックは派遣先企業が大量の「派遣切り」を行う上で
もっともらしい口実となった出来事でもありました。
さて、今年の年末に向けて、どうなることやら。
ようやく日本経済の回復の兆しが見えてきたという話も聞きますが、
円高と株価低迷による企業の業績悪化と金融資産の評価損が、
この景気回復を相殺してしまいそうです。
この状況に対して、派遣社員の「雇い止め」、正社員の「リストラ」、
つまりは解雇という形で対処する傾向は、今年は少なくなりそうです。
どこの労働現場も人手不足とそれによる人材難が、
つまり、現場を任せられるベテラン職員が育たないし、
企業に労働者が定着しないという問題が明らかになりつつあるからです。
それに代わって、
これからは賃金カットが一段と深刻になるのではないでしょうか。
すでに正社員であっても
暮らしを支えるに十分な賃金が補償されないという状況が報告されていますが、
それが各方面に波及するように思われます。
2000年代半ば頃は、
「雇用の流動化を図ることで、人件費を削減し、景気回復を図る」
だったとすれば
2011年末は、
「雇用は保障する。だが、賃金を削減することで、景気回復を図る」
となりそうな気がするのです。
ですが、どちらにせよ、
これでは国内需要がいつまでも回復することはありません。
1980年代の新自由主義的経済政策は、
民間需要による景気回復を期待しましたが、
それは民間企業に活力がある、
民間市場に潜在的な需要が隠されているということを前提にして、
初めて可能になるのではないでしょうか。
半年ほど前、
ミルトン・フリードマンの著作をぱらぱらと眺めていて、
これは実証的な社会科学の本と言うより、
多分に思弁的、かつイデオロギー的性格の強い本だなという印象を持ちました。
どうもこれでは、現在の状況から乖離したところで議論が一人歩きしていきそうです。
そろそろケインズを再読・再評価する必要がありそうです。
現代の状況の中でケインズをどのように読み解き、再評価するのか。
そんな著作に出会ってみたく思います。