こういうストレートなお題は少々苦手だ。
おいしくて好き、コストパフォーマンスがいいから好き、作るのが簡単だから好き、みんなが「おいしい」と言うから好き、など好きにも色々あるもんだ。

自分ではうまく作れないけど忘れられない肉料理なら、ホテル猪苗代（だったかな）で食べたローストビーフ。
ここのは焼き加減といい温度といいソースといい絶品だった。
頼むとお代わりを切ってくれるのがまた良かった。
何度試してもどうしてもあのジューシーさにならない。
１０年くらい前に食べたきりだが、忘れられない。

確かドイツのケルンだったと思うが、時計台だかのすぐ近くのレストランで食べた肉料理はどれも素晴らしかった。
腸詰めも良かったし、アイスバインだったか、豚のすね肉を骨ごと塩漬けしてよく煮込んだ料理も絶品だった。
ザワークラフトなんてそれまでおいしいと思ったことがなかったが、なんて合うんだろうと思った。
今日殺したものの詰め合わせとかいうのもあって、それはハムとかパテとか肉とか、いろんなものが少しずつ皿に乗っている。
どれも楽しい味だった。

チベットではキレイホテルの前にあったチベット料理屋。
正直チベットで本当にうまい！　と思ったのは、宿の振る舞い料理とここだけだ。
新鮮なものでないと食べられないという血のソーセージは絶品だった。
ここにもこんな料理があるのかと驚いたものだ。

上記のものはすべておいそれとは食べられない。
多分一期一会だったものばかりだ。
自分でも再現できない。
だからこそ、忘れられない。

簡単でおいしいから好き、と言うなら、塩漬け肉が好きだ。
数年前から作っているのだが、これは肉にこれでもか、と塩を振って１週間ほど冷蔵庫に放っておくもの。
買い出しに行った時などに作っておき、忙しい日、水に張った鍋に入れて塩気を抜いておいたものを茹でる。
肉が締まって、ただの茹で肉より格段にうまい。
塩気をどこまで抜くかが腕の見せ所で、そこがなかなか難しい。
塩気がうまくぬけていなかったら、薄く切ってサラダ菜で巻いたり、サラダに混ぜてアクセントにする。
端はチャーハンに混ぜてもいいし、煮汁はスープになるし、使い勝手がいい。
一緒にニンニクや香味野菜を混ぜておくと、素敵な茹でハムになる。
もともとは燻製に凝った時、茹でるだけでもおいしいなと思ったのが始まり。
この頃流行っているようですね。
これを常温で保存すると昔の船乗りの「塩漬け肉はだんだん腐臭がしてきて･･･云々」というやつになるんだろうな、と思ったりする。