痔の手術(赤裸々注意)2
肛門科では触診をする。
薄い手袋をした先生が肛門に指を入れるんですな。
はさみみたいに持ち手のある機械を入れて中を見たりもする。
こちらは膝まで下着を脱いで横向きになり、膝を抱えるか抱えなくても似たような恰好をして尻を突き出す。
恥ずかしいなんてもんじゃないが、仕方ない。
思えば産婦人科の先生も男だった。
あの内診も屈辱だった。
今更だ。
と心の中で唱えながら診察を受ける。
先生によると、現在いぼ痔だが、まだ手術の必要はなし。
どのくらいが手術の目安なのかと聞くと、排便の時に出てくるいぼを指で押し込まないと戻らなくなった頃だとのこと。
この時、中学の頃よく読んだエッセイを思い出した。
本の作者はひどい痔を患っている。
作家なので座り続けるのがいけないらしい。
排便の度に出てくるいぼ痔を、指に唾して押し込むのが習いだ、と言うと人は嫌な顔をするが、ではほかにどうすればいいのだ、手術は怖い。
だが指で押してもうまく入れられなくなってきたのでとうとう観念して手術をして…という体験談だった。
ということは、あの作者くらいになったら本当に観念して手術をすべきなんだろうな。
恥を忍んで行った肛門科では、座薬をもらえただけだった。
痛むときにはこれを入れろ。
痛まなくなったらやめていい、というのを2週間分。
その時はちょうど出血していない時に行ったからだ。
なんて言うか、出血が激しい時に行くとスプラッタなことになりそうな気がして躊躇してしまったのだ。
良く考えれば症状がひどい時にこそ医者に行くべきなんだけど、なんていうか、生理中に婦人科にかかりたくないのと同じような心理かな。
座薬は成分を見ても某市販薬とそんなに違うように思えなかった。
これなら市販薬でいいじゃないか。
と思い、2年ほど市販薬でしのいだ。
再訪したのは、時々便器が真っ赤になるほど出血するようになったからだ。
いぼも押し込まないといけないようになっていた。
診察をした先生は、手術を考えるならここではできないから、大きな病院に行くといいねと言った。
え、紹介はないのかい。
と思い、聞くと提携している病院に紹介することはできるが、自分で調べていくという手もあるよ、と言う。
なんだか、俺が提携している病院にはあまり紹介したくないんだ、と言っているようにも思える。
藪か。
藪なのか。そこ。
思ったことを聞けないまま帰宅し、脱力。
気合を入れて行った分、疲れたのだ。
ついでに今回は座薬でなく「外にはそのまま、中には注入」タイプの奴を処方されたのだが、それは医院内じゃなく外の処方箋薬局にしかない。
(座薬は医院内で処方してくれていた)
すぐ近くの処方箋薬局に入ったのだが、そこの薬剤師の女が大声で「これは痔のお薬ですか? ご本人様ですね。使い方は分かりますか。この図の通りにですね」と人の顔と薬を交互に見ながら長々説明しやがるので通院する気は皆無になった。
来年人間ドッグがあるから、そこで質問しようかな。