安寿の仮初めブログ

安寿

これは、ニコットタウンに現れた安寿の仮想ブログです。

今日の日は、さようーなーら ♪

勉強

ドイツの、どちらかと言えば南の方。
ドイツ国内では暖かいと言われる地域ですが、
しかし、今日はグンと冷え込み、
一日中、濃い霧に覆われていました。

ドイツの秋は、深い霧に覆われるようです。

そんな霧の日の午後、ハイデルベルクに散歩に行きました。

ハイデルベルクは、
街を見下ろす山腹に、
半ば廃墟化したハイデルベルク城が立ち、
いわゆるドイツ・ロマン主義を代表するような街です。

深い霧ですから眺めも悪く、
観光客も、散歩に訪れる人も少なかったのですが、
私にとっては好都合。

一人で半ば崩れかけた城砦を見ながら、
静かに散歩できるのですから。

さて、今日でこの地での授業はおしまい。
やれやれ、お疲れ様。

ドイツ語の先生曰く、
 「あなたは文法を理解しているし、書く文章はとてもしっかりしている。
  だから、会話と発音と聞き取りをがんばってね」

あ、ありがとうございます。ウルウルウル

…というわけで、修了証をもらい、
クラスメイトとお別れして、
そしてハイデルベルクへ最後の散歩へ行き、(これで5回目)
次の滞在先へ明日出発するための荷造りをしています。

しかし、私のいたクラスは、皆、知識人ぞろいでした。

医者が4人、研究者が3人、学校の先生が1人、同時通訳者1人
皆、英語がぺらぺら。

これからドイツに数年滞在して、
研究者や専門医として仕事をするのだそうです。
仕事は英語でできるけど、
ドイツに滞在するのだから、
仕事が始まるまでの数ヶ月間、
ドイツ語の勉強もしておくという感じで…、

  @@;  私、目を丸くしております。

皆、私のことを不思議に思っていました。

 「安寿は宿題をきちんとやってくるし、
  文法についての間違いは誰よりも少ない。
  でも、話が通じるまで、何回か繰り返さなくてはいけないし、
  自分が話す時になると、ブロークンになってしまう。
  なぜ…?」

さあ? なぜなんでしょう?

おそらく、それは日本人の悲しい性というものではないかと。
 
咄嗟のパフォーマンス力に欠けるのです。

「安寿さん、明後日は、あなたが自分の国について発表しなさい」
という課題は、
クラスの人から「ブラボー!」(←特にイタリア人)
という声が起きました。

何故か? その理由は簡単で、事前に準備できるからです。

そして、事前に準備できるとなれば、
そこは日本人の悲しい性で、
課題を寮に持ち帰って、せっせと「サービス残業」してしまうのです。

  (昔、日本語教師の仕事をしていたことがあるので、
   日本語の授業の初日でおこなう、
   日本語での自己紹介を導入し、それをドイツ語と対照してみました。
   加えて、日本語の発音の簡単さと、
   ドイツ語で要求されるRとL、HとF、BとWの区別が、
   少なくても日本人の耳には、違う音として認識されていないこと。
   だから、発音の簡単な日本語を話す日本人は、
   ドイツ語を話すとなると、
   日本語においては不自然な音を、
   殊更大袈裟に発音しなくてはいけないことを紹介してみました。)

ですから、発表それ自体は、上手にできました。
でも、問題はそれから。

  質疑応答…

これは、準備できません。
そして、咄嗟のパフォーマンスで対処しなくてはいけません。

とりあえず理解できた範囲で答えようと思うのですが、
私がドイツ語を話す場合、
まず、話す会話表現を考えて、
助動詞や時制を考えて、
男性名詞・女性名詞・中性名詞・複数名詞の違いを考えて…
動詞が必要とする前置詞を考えて…

  まるで暗号を作成しているかのようです。

  つまり、言いたいことをスラリと言えるような、
  身についた会話表現のストックが足りないのです。

全部考えていると、
将棋の待ち時間みたいになってしまうので、
とりあえず、話し始めると、
いつも支離滅裂になってしまうという…

  あああ~   

それでも何もしないよりか、
少しは上達しているようです。

私のクラスは、
知識人が多いことからもわかるように、
すでに大学でドイツ語文法を一通り学んではいるけど、
日常的にドイツ語を使っているわけではないから、
文法知識があやふやだったり、
発音や会話で支障のある人が集まるクラス。

例えば、ドイツ語の「私」、    ich イッヒ 
でも、イタリア人が発音すると、 ich イック
アラビア語を使う中東の人は、 ich イーシャ

このような状態ですので、
お互いの会話が通じるまでに、
何回か聞き直さなくてはいけないのです。

でも、話している内に、
なんとなくラテン語系の発音のドイツ語と
アラビア語系の発音のドイツ語が聞き分けられるようになり、
最後はドイツ語ではなく、
アラビア語で「元気ですか」と尋ねている始末。

  私の発表で日本語を教えたら、
  クラスメイトがそれぞれの言語で同じ表現を教えるので
  ドイツ語のついでに、アラビア語まで勉強してしまった。 ☆\(ーーメ

サウジ・アラビアの人が
「うゎんぴーす」というから何かと思ったら、
漫画の「ワンピース」だったり、
韓国の人が
「NANA」の作者である矢沢あいの新作漫画をドイツ語版で読んでいたり、
ドイツ語の先生が村上春樹の話題を持ちかけてきたり…  (^^;

  いや~、意外なところで、思わぬ日本再発見と予期せぬ苦労…  ☆\(ーーメ

ま、そんなこんなの4週間も
あっという間に終わって、明日朝にはこの地を出発です。

ここにもう一度、戻ってくることはあるのでしょうか?

  …それを思うと、ちょっと悲しい気分になります…。

一期一会とは、こういうことを言うのでしょう。

でも、仕方ありません。

皆さま、どうもありがとうございました。
そして、皆さまの明日に幸あれと…。

  • 安寿

    安寿

    2012/10/30 07:41:31

    >Luciaさん

    ええ、ですから、ドイツで勉強しているんです。

    日本でドイツ語の勉強していても駄目。

    だって、私が教室で「Guten Tag!(こんにちは)」と挨拶しても、
    「こんにちは」と日本語で応えるクラスメートたちですから。

      この人たち、いったい何のためにドイツ語を勉強しているかしら…
      
    おそらくカルチャースクールとして語学教室に通うことが目的で、
    外国語でコミュニケーションをすることが目的ではない人たちなのです。

    ですから、ドイツで、ドイツ語しか使えない環境で勉強しないと…。

    そして、ドイツにいる時、
    私は上のクラスに進むよりも、
    レベルを落としたクラスに在籍させてくださいとお願いして、
    習ったことを自分の中に定着させるようにしています。

      でも、それでも聞き取れない、話せない…

    とはいえ、昨夜は、
    レストランで隣に座った初老のご夫婦が話しかけてきて、
    まあ、なんとか話を和やかに続けることができました。

    アパートの家主さんで、
    アパートに韓国の学生さんがいるらしく、
    私が偶然隣に座ったので話しかけたかったのでしょう。

      あああ~、間違いだらけのドイツ語なのに、通じている~。

    私、自分の中にストックがある表現は、間違いだらけでもなんとか話せるんです。
    すでに使ったことがあるから。

    でも、新しいことを問われて、
    なんとかそれに答えようとして、
    内容と文法を考えながら話していると、
    メチャクチャになってしまいます。

    今日も学校に到着して、
    クラス分けのインタビューを受けた時、
      「私のドイツ語は、聞けない・話せない状態だから、
       レベルを落として復習させてください」
    と訴えると、
    相手の先生曰く、
      「そう? 今、あなた、ちゃんとしたドイツ語を話しているわよ」

    でも、それはこのインタビューをすでに何回か経験していて、
    どのように言えばいいのか私の中ですで出来上がっているからです。
        ↑
      このような事も言いたいのだけど、
      このような事までは言ったことがないので、
      話すとなると、考えながらになり、最後は支離滅裂になると言う…。 

    と、まあ、こんな状態で、
    毎日ううう~、と唸り、冷や汗を流しながら、
    それでも、なんだかんだと続けているだけ、立派よね。   ☆\(ーーメ 自分で言うてはなりませぬ

  • Lucia

    Lucia

    2012/10/28 07:02:26

    私の経験上だけれど...

    ブロークンな日常会話は
    外国語慣れする為の第一歩ではあっても
    学校のような、ある程度オフィシャルな場での
    質疑応答を乗り切ることはできないと思うわ。

    例えば、その場で「~について語りなさい」と題目が出されて
    それについて15分以上一人語りをして
    その上で曖昧だった部分を突っこまれて
    それに返答していくのが試験だから。

    それでもね、いくら自分の中にあることでも
    外に出せなければ
    「何も知らない、ゼロの知識」
    と見なされるの

    だから、頭の中で
    「あっちかな、こっちかな、 この場合はこう言うのかな?」
    等と考えていることを、とにかく口に出して発音してみる。
    そうすれば、特に学校などではドンドン、ツッコミや訂正を入れてくれるはず。

    そうやって、他人に色々と瞬時に正しい言語で突っついていってもらったほうが
    それだけ早く、その言葉が細胞の中に入り込んで、条件反射になってくる。
    そして、聞き取れないことは、絶対に自分の口からも瞬時には出ない。

    文字にした言語の訂正は、日本にいても添削してもらえるけれど
    瞬時に口から出た文章を、その場で訂正してもらうには現地にいる今しかないの。

    動詞の変化や、名詞の性と冠詞や形容詞との一致....etcは、
    頭で考えながら、聞き取ったり話したりするのではなくて、
    肌で感じとれるようになると、聞き取ったり話したりできるがスムーズになる。
    そして、他の外国人の文法的な間違いや、表現の間違いが
    ちゃんと、不快な音として入ってくる。

    ともかく
    既に頭に入っているのなら
    後はそれを条件反射に育て上げるだけ
    きっと、あと一歩よ

    そして、この一線を越えると、後は考えながら話しても
    不思議と、パニック、支離滅裂にならなくなる。

    何というか、話の内容を考える思考と
    文法などをコントロールする思考が
    平和に共存して、お互いを邪魔しなくなるの。

  • 安寿

    安寿

    2012/10/28 04:16:01

    >Luciaさん

    あ、
    ブロークンでよいのなら、
    私はおしゃべりです。
    そして、それで旅行者としてなら、
    十分にサバイバルしていけます。

    でも、ブロークンのドイツ語を話していては、
    ドイツ語を勉強している意味がありません。

    ですから、私の現在の課題は、
    下手で良いから、ともかくきちんとしたドイツ語を話すこと。
    そして、相手が何を言っているのか、ちゃんと聞き取れること。

    上手なドイツ語を話すのは、まだまだ先の話。
    でも、変な発音でいいから、
    ともかく終わりまで、ちゃんと完結したドイツ語を話せるようになりたい。

    考え考え話しているから、
    途中で混乱してしまって、
    最後まで文章として簡潔していないんです。

    要は、身についた使える表現が、
    まだまだ不足しているのです。

  • 安寿

    安寿

    2012/10/28 04:03:46

    >もや子さん

    はい、ハイデルベルクだけでなく、
    シュパイヤーもヴュルツブルクも行ってきました。
    だって、交通機関の1ヶ月チケットを買ったら、
    この街に何度言っても、全部タダ。

    ハイデルベルクは近かったので、
    5回訪れました。


  • Lucia

    Lucia

    2012/10/26 08:30:50

    追伸

    イタリア語でもね
    日本人か、韓国人か、中国人かが
    発音を聞くと分かるのよ


    西洋人でも、英語圏の人はすぐ分かる
    東欧系の人は、発音を聞いても
    イタリア人か、外国人かの区別がつかない

  • Lucia

    Lucia

    2012/10/26 08:23:21

    イック、 ディック、 バック..... イタリア人はねぇ
    チューリッヒは.... 
    チューリックではなくてズーリーゴ(zurigo)だけど。。。


    昔、日本人妻+独人夫のカップルが近くに住んでいて
    仲良くしていたのだけれども
    私はご主人とはイタリア語で会話していたのね
    (私は英語ができないから)

    イタリアには"海外駐在員"として来ていたから
    転勤前に、どのくらいイタリア語を勉強したのか聞いたら
    「一週間」ですって!!


    質疑応答は、とにかく慣れるしかないかな

    几帳面な国民性を棄てて
    アバウトな表現力と不完全な文法に罪悪感を持たずに
    張ったりで乗り切る

    こちらの学校の試験って
    ほとんど口頭での質疑応答だからね
    最初は苦労した~

  • もや子

    もや子

    2012/10/26 07:27:41

    こんにちは。ハイデルベルクに行かれたんですね。
    私の住んでいるところからも近いので、行こう行こうと思いつつ間もなく2カ月が経ちます。(笑)

    ichに関して、すごくよくわかります。イックだったりイッシだったり・・初めは本当に困りました。