安寿の仮初めブログ

安寿

これは、ニコットタウンに現れた安寿の仮想ブログです。

シュターデ ゆがみが何故かカワイイ

レジャー/旅行

今いる街から電車で50分ほどの小さな街、
でも、中世の頃は、前回のリューベック同様、
ハンザ同盟の中でも繁栄を誇った街
シュターデに行ってきました。

この街も、旧市街は、
運河というか堀に囲まれた小さな街です。
半日もあれば、街の中を一通り、見物できてしまいます。
ですが、このシュターデは、とてもカワイイ街。

曲がりくねった街路は、
中世の頃のまま。
木組みの家並みは、
もちろん 産業革命以前に建てられたもの。
小さな運河と小さな港。

なにもかもがこぢんまりとして、
可愛らしいのです。

にもかかわらず、この街、
今日は広場に市の立つ土曜日だったからかもしれませんが、
人通りの多い街です。
そして、曲がりくねりながらも、街を縦に貫いている通りには、
たくさんの、しかも現代的なショーウインドウを、
通りに向けてディスプレイした、おしゃれなお店が軒を連ねます。

ですが、そのお店は、古い木組みの家の中に収まっているのです。

ドイツでの借地・借家権は100年単位らしく、
つまり、一度土地や家を借りたら、
そこに親子3代に渡って暮らせることを意味するみたいです。

ですから、古い家を借家人が住みやすいように、
あるいは営業しやすいように、手直しして住むのです。
現代的なショーウィンドウは、その賜物と言えます。

でも、家そのものは、大家さんのものですから、
勝手に改築はできません。

結果的に、
街並みは古い木組みの家が続くけれど、
お店自体はとてもモダンな通りが出来上がったようです。

で、その木組みの家をバチバチと写真に納めていたのですが…、

  あ、この家、横に傾いている。
  柱がまっすぐ立っていないし、
  隣の家に寄りかかっているでしょ。
  こんなに歪んでいて、窓、ちゃんと開くのかしら?

  あ、この家は、通りの方に前傾している。
  なんか倒れてきそう。

  あ、この家、木組みを見る限り、
  二階の床が水平ではない。
  こんなに床が傾いていると、
  キャスター付きの椅子や家具は、
  全部部屋の片隅に転がって行ってしまうんでは…。

どうもドイツの大工さんの考えていることがよくわかりません。

ピサの斜塔のように、
建てている最中に地盤が沈んでしまって、
家が傾いてしまったというならわかります。

ですが、それなら家全体が傾いているはず。

ところが、木組みを見る限り、
初めから長さの違う柱を使っていたりします。
ですから、建てた当初から
この家は、2階の梁が水平ではなく、
傾いていたのではないかと思われます。

どうもドイツの大工さんは、
大家さんと相談して、
とりあえず手に入る材料で、
行き当たりばったりに建てていったとしか思えません。

  「家主さん、
   今、手に入る木材は、
   みんな長さが違うんですが、どうします?
   ちゃんと長さを揃えると、時間も値段も張りますよ。
   少しゆがんでいたり、床が傾いていてもいいなら、
   これで作っちゃいますけど…」
  「ううーーーん、お金がないから、
   今ある材料で、なんとかして。」

こんな会話によって、
こんな家々が経ってしまったのではないでしょうか。

ともかく、
何処かゆがんでいたり、傾斜していて、
まっすぐ立っていない家々ばかり。
曲がりくねった街並みは、
私のような路地裏散歩の大好きな旅行者は大歓迎ですが、
そこに住む住民にとっては、
結構、使い勝手が悪いのではないかと…。

  「ちぇっ、大家の奴がケチったもんだから、
   ゆがみで窓がちゃんと開かないじゃないの。
   床も斜めだから、椅子に座っても、
   なんだかいつも前傾姿勢だったり、後ろに反り返っていたり。
   ベッドの置き方にも気を付けないと、
   寝返りを打ったら、そのまま転がってしまって、
   ベットから落ちてしまうじゃない」

そういう「ぼやき」も聞こえてきそうな気がします。

でも、この曲がりくねって、どこかゆがんだ旧市街の空間は、
なんか可笑しくてカワイイ。

天の邪鬼な安寿の性格によく似合っています  ☆\(ーーメ

しかも、休日ともなれば、
大勢の住民が散歩がてら、
籠やキャリーバックを片手に市場へ買い出しに出てきて、
ついでに、カフェや居酒屋で食事をしていく街。
だから、結構活気のある街。

シュターデは有名な街ではありませんが、
古い街並みと小都市の活気を楽しみたいのであれば、
ここはお勧めです。