月山の上から満月を…
鳥海山は
富士山と同じように
円錐形の形をしてますので、
成層火山であることが一目瞭然です。
それに対して月山は、
そのなだらかな山容から、
地面が隆起してできた山だと思ってました。
ですが、月山も火山なのです。
火山ならば粘性の低い溶岩が流れ出て、
幾重にも積み重なってできた盾状火山なのかなと思えば、
月山も鳥海山と同じく成層火山なんだそうで、
確かに月山に登ってみると、
山の北西側には急峻な谷が開いています。
ここが昔、爆裂火口だったらしいです。
そして冬、
日本海側に向かって開いたこの谷を駆け上がるようにして、
大量の雪は吹き上がり、
東側のなだらかな斜面に降り積もっていくのです。
ですから、
月山頂上からほど近いところにある
姥ヶ岳という山の斜面には月山スキー場があるのですが、
このスキー場のオープンは4月から7月まで。
真冬は雪が深すぎて、
スキー場までスキー客が辿り着けないらしいんです。
でも、冬にオープンしてないスキー場なんて…
ともかくそれほど月山は雪深い山で、
この雪が緩やかな高原状の斜面に大量に降り積もることで、
月山独特の景観を形作ってきたと言えるでしょう。
ここは大量の雪が降り積もりますから、
2000mそこそこの山なのに、
夏になっても雪渓や雪田が残っていて、
溶けたところから、今度は一斉に高原植物が咲き出すのです。
ですから、
黄色い花を咲かせるニッコウキスゲは、
尾瀬だとだいたい7月中旬から8月上旬に咲く花なのですが、
月山においては8月下旬にさしかかった今でも、
まだまだ花の盛りなのでした。
雪渓が消えた所から、
高原植物が育ち始めるため、
同じ花であっても前後して生育する結果、
花の見られる期間が長いのだと思います。
また長い間、
雪の下に閉じ込められるため、
月山では植物が枯れて腐らずに、
泥炭となって積み重なっていくのです。
そのため高原状の斜面には池糖が点在していて、
その周囲や、あるいは池の中からも、
様々な高原植物が顔を覗かせています。
首都圏から月山に登る場合、
夜行バスと登山口行きのバスを乗り継げば、
山中に宿泊せずとも往復することができます。
ですが、そんな大急ぎの登山はしたくありませんでした。
羽黒山も見て回りたかったですし、
何よりも月山八合目登山口に広がる高層湿原の弥陀ヶ原。
ここをゆっくりと散策したかったからです。
そして実際に歩いてみれば…
8月下旬だというのにまだまだ豊富なお花畑。
なだらかに広がる高層湿原と池糖群…
湿原の向こうになだらかな山容を見せる月山山頂。
池糖が点在する地形と言えば、
みなさんすぐに尾瀬を思い浮かべるでしょうが、
尾瀬は、周囲が山に囲まれた盆地状の地形です。
しかし、月山の場合、
高層湿原がそのまま幅広の稜線となっているため、
高層湿原の尽きた果てには青空が広がり、
遙か下の方から雲が湧き上がってくる~
おお~、ラピュタだ~!
天空の城ラピュタに今、私はいるんだあ~! ☆\(ーーメ)
ひょっとしたらこの草原のどこかで、
ロボット兵がお墓の見廻りをしているかもしれない。 ☆\(ーーメ)
足元には、可憐な花。
前を見れば、草原の尽きる先に湧き上がる雲。
見上げれば、なだらかな斜面の上に月山山頂。
そして、夕暮れれば、
日本海に沈む夕陽と、
天空いっぱいに広がる夕焼け…
…と言いたいのですが、
先ほども述べたように
日本海側から風が急峻な谷を吹き上がってくる結果、
稜線上の西側は、どうしてもガスに巻かれてしまうことが多く、
残念ですが、夕陽も夕焼けもこの日は見ることができませんでした。
日が暮れたので、山小屋に戻って夕食。
月山は霊山。
死者の帰っていく山であり、
修行者たちが厳しい荒行によって死と再生を繰り返す場ですので、
山小屋の食事も、精進料理風。
山菜や漬け物、ゴマ和えや田楽茄子といったメニュー。
これはこれでご飯が進むので、私としてはウエルカムです。
そもそも月山での修行は、
最終的に即身成仏するのがその極みらしく、
そのためには五穀断ち・十穀断ちと粗食を貫き、
身体から脂肪や水分を限界まで落としてから、
入寂する… つまり、ミイラになるわけです。
カラカラに干上がった状態で即身成仏しないと、
燻製のようなミイラにならないのかしら… ☆\(ーーメ)
確かに腐っちゃったら嫌よね… ☆\(ーーメ)
粗食を貫き、最後はミイラになるのが
出羽三山流の究極ダイエットかもしれませんが、
しかし、私にとってはご飯が美味しい!
あ~、喰った喰った。
安寿はまだまだ即身成仏できそうにありませぬ。 ☆\(ーーメ)
さて、高原散歩もしたし、
食べるものも食べたし、
明日はいよいよ月山山頂に向けて登山だから、
今日は早めに寝ましょうかね。
明日は夜明けと共に歩き出す予定だから。
…と、寝床に戻って、
明日の荷物整理をして、
布団を敷いて、
歯を磨いて、
窓の外に目を移したら…
月~! 月山で月~! それも満月~!
高原の東側には、
煌々と輝く月が昇っているではありませんか!
上空を見上げれば、
鰯雲らしき雲の影が
月の光に照らされている。
そうか~、東北にはもう秋が訪れているんだ…
いよいよ明日は登山です。
まだまだつづく。
安寿
2013/09/05 22:51:51
>あがたさん
かっこうの声は聞かなかったなあ。
でも、鶯は鳴いていたので、
鶯の巣に託卵するかっこうもおそらくいるのでしょう。
満月はほんとうに偶然でした。
しかも、夕方、弥陀ヶ原はガスが掛かっていただけに、
弥陀ヶ原の東に登っている満月を見つけた時は、
おおお~
そのまま、遅くまで眺めていたかったです。
(でも、寒いから、適当なところで切り上げましたけど)
あがた
2013/08/29 09:46:18
弥陀ヶ原きれいですよね。
かっこうが鳴いていることが多くて大好きな場所です。
月山で満月なんて!
夜に月山はまだ行った事がないのでとてもうらやましいです。
よかったですね。