『かぐや姫の物語』を見てきました。
ネタバレしてます。御注意のほど。
公開初日に
高畑勲監督の『かぐや姫の物語』を見てきました。
今年は、アニメ作品の当たり年。
『風立ちぬ』もよかったですが、
しかし、『風立ちぬ』は、アニメ史の劃期となる作品ではありません。
この『かぐや姫の物語』は、アニメの新たな可能性を開いたように思います。
ともかく絵が美しい。
水彩画のような美しい風景があるかと思えば、
素描デッサンの荒々しさとデフォルメ、モノクロの色調による
激しい感情の描写がある。
しかも、単に絵が美しいだけでなく、
動く絵であるアニメだからこそ、
しぐさの描写を丹念に描けるのだという可能性…
…ではなく、実績を示したと言えます。
寝返りを打ち、這い回り、よっこらしょと立ちあがる
幼児の動きを、アニメはここまで描くことができるようになりました。
それは観察としての絵、しかも動き回る絵としてのアニメだからこそ
可能な描写です。
他方で、戯画としての絵、
風刺絵としてのマンガの精神もしっかりと残していて、
『平成狸合戦ぽんぽこ』では百鬼夜行図が登場しましたが、
今回、かぐや姫を迎えに現れるのは… ヒ・ミ・ツ ☆\(ーーメ)
(極楽浄土とは、きっとこのような歌舞音曲の流れる
愉楽歓喜な世界なのでございましょう)。
野山と人の愛の間で、
伸び伸びと育った姫が、
都の、「貴族」とか言う汚らわしい世界へと押し込められるのですが、
ある時、野に出で、
自らの鬱屈から逃れ、
幼なじみと宙を舞い、
まっすぐに落下し、
解き放たれる。
解放とは心のあり様なのであって、
この世の至高の幸福を受けることでも、
革命や政権交代や制度変革といった外形でもない。
平安貴族も平成貴族も、所詮は虚栄。
にもかかわらず、市井の民が生きていくには虚栄の秩序が必要らしく…
だから、かぐや姫よ、
やはり、もうお帰りなさい。
今が潮時。
この世がどれほど美しくても、
人の世は常に愚かでしょうから…
安寿
2013/11/24 22:33:32
>アビゲイルさん
サントラ盤、すでに買ってしまいました。
ネタバレしますが、
阿弥陀来迎図が元ネタですから、
菩薩や羅漢、天女などもお迎えに伺う側なのではないでしょうか…
ですから、かぐや姫は、
この世に生を受けながら、
あの世での往生を約束された念仏衆であり、
しかも極楽往生を訳されているにも関わらず
この世に未練を持つ煩悩具足の凡夫と…
親鸞でしたら、そう言いそうです。
アビゲイル
2013/11/23 20:30:29
はじめまして広場からです
私も観てきました^^ まずサントラ盤は買いですw もう1度映画館でみたいと思いました
姫は 仏教的な階層の 菩薩様クラスの存在なのかなぁと・・・
きっと 原画の色彩はもっと繊細なんでしょうね。いつかジブリ美術館で原画展開催してほしいです~