やっとお節を作り終え、台所の掃除も終わった。
今年の御節は煮豆３種と煮しめ、角煮、トンコツ（鹿児島料理）、味付け玉子、ゆず大根、昆布巻き、それに洋菓子２種と和菓子２種だ。
本当は洋菓子は１種だけのつもりだったが、急遽パウンドも６本ほど焼いて、そのなかの５本をご近所に配った。
年末の挨拶だ。
なんか古風なことをしているなと思いつつ、高校生の長男と２人で回った。
下の二人はもう実家に行っていたからだが、彼らがいたら連れて回っただろう。
とにかくうるさい家なのだ。
とりあえず下の子が小学校を卒業するまでは続けようと思っている。

だんなも子供も「やめとけ」と言われたが、お隣にも挨拶に行った。
この家の方は少々変わっていて、何かと言うとすぐ警察に通報する。
つい先日もおまわりさんがうちに来て、疲れた微笑みを見せていた。
子供が外で遊んでいたら家の中から「うるさい！」と怒鳴る声が聞こえたので、だんなもそれに「出てきて言え！」と」怒鳴り返したために通報されたらしい。
あほか。
うちのダンナもだ。
ただの「独り言」に怒鳴り返してどうするのだ。
と言われるにきまっとろーが。
あまりに低次元過ぎて、私は料理に専念していた。

挨拶に出てきたのは、息子でなく母親の方だった。
「年末の挨拶に伺いました」と言うと、やたらと愛想よく出てきて「わざわざありがとうございます」と言い、でも手土産は受け取らず、「いつもうるさくてすみません」と言っても「ほほほ」と笑うだけで「いいんですよ」と言いはしなかった。
手ごわい。
だがこちらも「ほほほ」と笑いながら「来年もうるさいと思いますがよろしくお願いいたします」と挨拶してこれたのだから、まあいいとしよう。

後ろについていた長男がどう思ったかは知らない。
けど、「嫌いだから挨拶もしない」というのは自分の負けを認めるようなものだと私は思う。
私はあなたの嫌がらせなんかなんとも思っていませんよ、と堂々としていることが己の格を上げ、相手に一目置かせるのだ。
そういう戦い方もあるのだと、いつかわかってほしいと思う。