安寿は一人で生活しているので、長期旅行に出る場合、
事前にしておかなくてはいけない様々な「儀式」があります。

新聞を止めるとか、
回覧板を飛ばして廻してもらうとか、
御近所の方に時々家の見廻りと郵便物の回収をしてもらうとか…
そういったことをお願いして廻らねばなりません。

それだけでなく、
旅行中に父の命日を迎えてしまうため、
前倒ししてお墓参りもしました。

庭は２ヶ月放置しておいても大丈夫なように、
雑草を引っこ抜いたり、
植木鉢の置く位置を変えたり、
初夏の庭が自然と育っていくように
新しい苗を植えたりしておかねばなりません。

仕事の方も、いろいろ面倒です。
私がいない間、発注した作業を進めておいてもらうために、
事前に打ち合わせしたり、
契約書を早めに作成して郵送したり、
メールで書類を転送してもらえるように、
取引先にお願いしておかなくてはなりません。

万一泥棒に入られたり、天災に見舞われたりしても、
（実際私がドイツにいた2011年春、東日本大震災は発生したもんなあ～）
大きな損害にならないように、大切なものはヒミツの隠し場所に移動しました。

部屋もきれいに掃除して、
ゴミ箱にゴミが何も残っていないように、
ゴミ出しを全部終わらせる必要があります。

ですが、ゴミ出しを終えるためには、
玉葱・ジャガイモなどの買い置きしてある根菜類を使い切り、
冷蔵庫の中にある日持ちしないものをすべて食べ尽くさねばなりません。
（ケチだから、「食べられるものを捨てる」という発想はしない。）

お米も２ヶ月放置しておくと、
虫が発生したりするので、出発までに食べきるようにしました。

これで考えうる限りの事前にやっておくべき「儀式」は、
すべて済ませたように思うのですが…

　　でも、なにかやり残したことがありそうで、心配だあ～。
　　荷作りもなんとかできたようですが、
　　でも、なにか大切なものを忘れていそうで、心配だあ～。

　　ぱ、パスポート、持ったよね、私…。


このように
安寿は臆病者ですから、
旅行前に綿密な旅行計画を立て
予約手続きをすべて几帳面に済ませておくのですが、
それだけでなく、自分がいない間の自宅や仕事についても
このように几帳面に「儀式」を執り行っておくです。

でも、
几帳面であるということは、
心配性でもあるということでして、
これだけ念入りに準備してあっても、
安寿は安心するということを知りません。

　　ああ～、心配だあ～…
　　出発日はどうやら雨…
　　ああ～、心配だあ～…　　　☆＼(ｰｰﾒ)　大袈裟な奴！　


一度、すべてを他人任せにして、
気ままな大名旅行をしてみたいものです。