安寿の仮初めブログ

安寿

これは、ニコットタウンに現れた安寿の仮想ブログです。

妄想筍 Ver.2016

小説/詩

朝から竹の子を茹でています。

今年は熊本産の竹の子を買って、
少しばかりの復興支援と思いましたが、
おそらく出荷ができないのでしょう。

毎年見かける熊本産は手に入らず、
石川産の中ぐらいの竹の子を購入。
ぎりぎり鍋に入る大きさです。

午後は茹でた竹の子をゆっくりと冷まし、
それから…

  …それからは、
  竹の子を茹でた時にアップする
  以下の官能掌編でお楽しみ下さいませ。   ☆\(ーーメ)

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    モウソウタケ
    妄想筍 / 安寿


  筍を茹でながら思ふ

  もはや私の愛は
  人ではなく               
  この時期の筍
  乳白色の湯の中で         
  静かに冷めるのを待つて入る君へと
  注がれて入る
                                               
    香しき
    鍋の何処にかぐや姫
    糠に隠れて
    おはしますのか                 
                                               
  今年も違ふことなく              
  鍋の内より姿をあらはす君
  焦らせることはあつても
  裏切られることは決してなく

  そつと
  十重二十重の皮衣に手をかけて
  悪戯にその細い肩を口に含めば
  待ち望んだ逢瀬
  淡泊にして鮮烈な芳香
  官能の舌触りに理性は狂ひ
  このまま食べてしまひたい

      もう少しお待ち下さひませ

  微笑んで諭す言葉に
  己の所業を恥じ入る私
  その姿では心細かろうと
  たつぷりの出汁で煮含めた若竹煮
  薄揚げと共に仕込んだ筍御飯
  梅肉で和へた姫皮の突き出しと
  初夏の装ひに整へさせて
  仕上げには山椒の簪
  君のために誂えたのだよ

  見つめ合ふ二人
  やがて無言の儘に
  手を差し延べて
  熱く激しく
  満たされてゆく

  これより先は秘め事なる故
  皆さまの健啖な想像力に
  お委せしたく候

          2001/05/02初稿
          2002/03/18改訂
          from 安寿堂
            ただいま三杯目おかわり中   ☆\(ーーメ)


p.s.   ああ~、肥満の何がいけないのだろう~  ☆\(ーーメ)

p.p.s.   あれ~、
     2合炊いたはずの筍御飯が
     電気釜の中に残ってない~    ☆\(ーーメ) 全部お前が食べた癖に!

  • 安寿

    安寿

    2016/05/02 21:08:27

    >四季さん

    「子褒め」って、どんな話だったか調べてみました。

    なるほど、「子褒め」の中に、

      竹の子は生まれてながらに重ね着て…

    が出てくるわけですね。

    しかし、官能掌編「妄想筍」は、
    文字通り、人間と筍の麗しの桃源郷、
    あるいは、互いにむさぼり合う酒池肉林の秘境を描いたものでして、  ☆\(ーーメ)

    ですが、この秘境に陥ったが最後、
    人間は筍を堪能し尽くし、
    太った分を減量するまで
    この世に戻っては来られないという…

    …ですので私、この世にまだ戻って来ておりませぬ…   ☆\(ーーメ)

  • 四季

    四季

    2016/05/01 23:25:53

    柳家喬太郎師匠の「子褒め」を思い出します

     竹の子は 生まれながらに重ね着て
      育つにつれて 裸にぞなる

    あたしは脱いだらスゴイんですよ~、弱弱しくて(;_:)笑
    いっぱい食べて、いっぱい運動しようと思いました